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姫様は守護者の末裔なり

第2章 出会いと別れは必然


コンコン

「姫殿下、ヴァフリーズです」

「入ってください」

「失礼します」

ガチャ


あれから1時間が経過した。

外の騒ぎも沈黙していき、消火は終わったようだ。


「ヴァフリーズ、ヒルメスお兄様は………」

「………大変、申し上げにくいのですが……」

「まさか……!?」


嘘よ………。

私は、決して………、。


「ヒルメス殿下が、お亡くなりました……」

ドサッ

「姫殿下!?」

「………嘘よ……。ヒルメスお兄様が、亡くなったなんて……」

「姫殿下……」


だって、約束したじゃありませんか……。

お側にいさせてください、と……。

あの約束は、只の上辺の言葉だったのですか……?


「………今日はもうお休みください」

「………そう、させてもらいます」


きっと、明日、目が覚めれば、いつもの日常よ……。

いつも通り稽古をして、ヒルメスお兄様とお話しして……。

これはきっと、悪い夢よ………。

そう、思い信じましょう……。










「ライナ……」


………っ、ここは……?


「何故だ……、ライナ………」


あれは……、ヒルメス、お兄様………?

なんか……、いつもと違うような………。


「何故、俺を見捨てたのだ……。ライナ」


――見捨てた?何を仰っているのです、ヒルメスお兄様…。


………?あれ?

声が……、出ない………?


「見捨てたではないか……。炎の中、何度もお前の名を呼んだというのに……」


――炎の、中……?


私はこの時、背筋が凍るような感覚だった。

ある一つの出来事が、頭に浮かび上がったのだ。


――ヒルメスお兄様、だってあれは、夢なのでしょう?炎の中だなんて、そんな……


「……お前だって、気づいているはずだ……。あれが、夢ではないことぐらい」


――…………っ!嘘です!!ヒルメスお兄様が、火事で亡くなったなんて……!!

――只の、悪い夢に決まってます……!!!


「………」


お願いですよ、ヒルメスお兄様………!

あれは夢だと、仰ってください……!!


「……さよならだ、我が愛しい妹、ライナよ」


――っ……!お待ち下さい!ヒルメスお兄様!
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