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姫様は守護者の末裔なり

第2章 出会いと別れは必然


コンコン

「はい」

「姫殿下、ヴァフリーズでございます」

「ヴァフリーズ?どうぞ」

「失礼します」


一体こんな時間にどうしたというのだろう。

もう今日の稽古も終わったというのに。


「緊急の報告にてございます」

「何かあったのですか?」

「はい。先王、オスロエス様が……」

「伯父様が?」


伯父様に、何かあったのだろうか……。

伯父様もだけど、ヒルメスお兄様が心配だわ……。


「オスロエス様の病は……、今夜が峠だそうで……」

「嘘………」


伯父様が………!?

病にかかって、もう5年は耐えていたというあの伯父様が………?

………ヒルメスお兄様が心配で仕方がない。

ヒルメスお兄様は、本当に伯父様のことを尊敬し、敬愛していたから……。


「ヒルメスお兄様は……」

「オスロエス様のお側に付いているそうで…」

「そう、ですか…」


私も、ヒルメスお兄様のお側にいたい……。

………でも、今はそっとしておこう。

その方が、きっといい……。

ヒルメスお兄様は、自分の弱い面を見られるのが、誰よりも嫌いだから……。


「伯父様の容態が悪化するようでしたら、また知らせてください」

「御意」


バタン

「………はぁ」


何だかんだ言いながら、やっぱり気になる……。

明日の朝にでも、伯父様のお見舞いに行こう。





──この時は誰も予想していなかったであろう


──悪夢はもう、始まりの鐘を鳴らしていた








「火事だぁあああ!!!」


ビクッ

「何事!?」


先程まで寝ていたというのに、騒ぎで目が覚めてしまった。

早く、誰か知らせに来て………!


ドンドン

「姫殿下!」


来た……!


「入ってらっしゃい!」


ガチャ

「この騒ぎは何事です!」

「ご報告します!ヒルメス殿下のお部屋から火の手が……!!」

「何ですって……!?」


ヒルメスお兄様………!


「私も今すぐ行きます!!」

「危険です!!」

「でも……!」


………落ち着け。こんな時こそ、冷静に……。

私が今行っても、かえって消火の邪魔になる……。


ヒルメスお兄様………。

貴方は今、ご無事なのですか……?

ライナは、心配で心配で、胸が張り裂けそうです………!!

ヒルメスお兄様っ………!
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