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姫様は守護者の末裔なり

第2章 出会いと別れは必然


先程私は、剣を怖いと思っていた。

それは本心だ。

剣なんて、持ちたくない……。

前世を、思い出してしまうから……。


………でも、それが必要だと言うのなら、私はそれに従う。

だって、私は“王女”なのだから。

次期国王を支える者が、弱音など吐いてはいけない。


何も変わらない。

今も、昔も。

そして、これからも――、そう思っていた。

自分を抑え込んで、生きていくと思っていた――。


裏社会で生きていくのは、本当に辛かった。

逃げ出したかった。

でも、そうすれば、周りに迷惑がかかる。

今も、弱音など吐いては、迷惑をかける。

それは、これからもそうだろう……。


………けれど、ヒルメスお兄様は違った。

“迷惑ではない”と、言ってくれた。

私はきっと、その言葉を待っていたのだろう。

心が、救われた気がした――。



「ヒルメスお兄様、こらからも、お側に居させてくださいまし」

「あぁ、俺からも頼む」

「喜んで(ニコッ」















これが私とヒルメスお兄様の、出会い。

今となっては、もう半年も前の話。

あれから感じる時の流れはとても早く、喋り方を偽るのも止めた。

王宮での勉強も、ヒルメスお兄様に誉めてもらいたいと思って真面目に聞いていると、案外面白い。

前世とはまた違った価値観だ。

その心境の変化のお陰か、私は色々な知識を吸収していった。

前世に比べたら、かなり聡明になった。

子供というのも、また便利なものだ。

その得た知識の中で一番気になったのが、“奴隷”だ。

奴隷制度はやはりよく思わないが、それを口に出さすと、お父様の怒りに触れてしまうので、言わなかった。

………っと、あまり考えすぎたな。

そろそろ時間だ。


「ヒルメスお兄様、そろそろお稽古の時間ですので、これで」

「あぁ、また明日な」

「はい(ニコッ」


そうして、私はヒルメスお兄様と別れた。

これが、最後の会話とも知らずに―――。










――半年前の約束は、僅か半年で破れるのだった。



――誰がこの運命を、結末を、予想できただろう



――運命は、時に幸運を呼び、不幸をも呼び寄せる
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