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姫様は守護者の末裔なり

第2章 出会いと別れは必然


「っ……」

「…………」


…………っ、誰……?

私の名前を呼ぶのは………。





「ライナ………」

「…………っ、」


この声………。

とても優しく、暖かい声は……。


「ヒルメス、おにいさま………?」

「ライナ!?目が覚めたのか!!」


………あれ?

私、何してたんだっけ……?


そんな私の表情を読んでなのか、ヒルメスお兄様が答えてくれた。

「中庭で倒れたんだぞ」


あぁ、そっか。

久々の発作で、倒れてしまったんだ……。


「ごめんなさい……」

「何故お前が謝る」

「だって、めいわくかけましたし………」

「俺はお前のことを迷惑などと思ってない」


………嘘だ…。

そんなの……、上辺だけの言葉だよ………。


「それにな、ライナ。俺は、お前に“お兄様”と呼ばれるのが好きだ」

「…………」


そんなの……、ご機嫌取りに過ぎないよ……。

皆みんな、そうやって私の機嫌を取るんだから……。


「俺とライナは今日会ったばかりだ。だがな、時間など関係なかろう」

「!」


時間など、関係ない……?

本当に………?


私の不安そうな顔を見て、ヒルメスお兄様は、私の頭を撫でてくれた。

「ライナ、俺といた時間はつまらなかったか?」

「……、(フルフル」

「そうか(微笑」


ヒルメスお兄様が……、笑った……?

なんで………?

さっきまで、笑ってなかった……。

むしろ、辛そう笑顔だった……。


「俺はお前といた時間、楽しかった。お前もそうだと思ったら、嬉しくなったんだ(微笑」

「ヒルメス、おにいさま……」

「俺は、これからもライナと共にいたい。お前はどうだ?」

「わた、しは………」


………私は、この方と共にいたいのだろうか?

確かに、あの時間はとても楽しかった。

久々に、感情豊かになった。


「すこしだけ、のぞんでもいいのなら、わたしは……」

「ライナ、人間は欲深い人間だ。少し臨むぐらい、罰など当たらなかろう」


あぁ。良いんだ。

今まで私は、自分を抑えて生きてきた。

王族だから、しっかりしなきゃ、遊んでなんかいられない、と。

我が儘も言ったことがある。

でも、どれもどうでも良かったことだ。
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