第8章 Gilia
「お昼どこで食べる?」
真依は、隣を歩くあずさに尋ねた。
「・・・もくもく」
ぽつりと呟かれた言葉に、真依は苦笑した。
「そうね、私も賛成。メールだけ入れておくわね」
そう言うと、真依は携帯を取り出し、メールを打った。
真依とあずさは、学校から電車で移動し、駅前の大通りから横路に入った。
少し奥に入っただけで、人通りが一気に減る。
一度だけ左に曲がり歩くと、地下へと続く階段のある、縦長のビルが見えてきた。
あずさの前を歩き階段を下りると、茶色い扉が見えた。
丁度大人の目線の高さに白い小さい看板がかかっている。
"Gilia"
紫の花が描かれた中に、グレーの文字。
真依は、ひんやりと冷たいノブに手をかけ、扉を開けた。