第11章 自由すぎる
「お、来たか。昼休みに悪いな。悪いついでに、来月の合唱コンの指揮と伴奏とソロ決めてくれ。これ、楽譜」
そう言って、律子は訪れた真依と万里に楽譜を渡した。
一瞬思考がとまりかけたが、かろうじて笑顔を作って楽譜を受け取った。
「・・・わかりました。パート決めも自分たちでやるという認識で間違いないですか?」
「あーそういやパートも決まってなかったな。めんどくさいから決めといて」
またもや目眩がした気がした。
「え、先生待って。音楽委員確かいるからそっちの管轄じゃないの?」
万里は慌てたように抗議の声をあげた。
「音楽委員よりお前たちに頼んだ方が楽そうだったからな」
「「・・・・」」
(自由すぎる・・・)
真依は心の中でため息をつき、楽譜に目を通した。