第10章 自信過剰
「・・・日下くん、行きましょう」
「っちゃ〜やっぱクラス委員なんかやるんじゃなかったな〜」
真依の言葉に、万里は渋々と言った様子で立ち上がった。
「平!先飯食ってて!」
「あずさも先に食べてて。話長いかもしれないし」
そう言うと、万里と一緒に教室を出た。
「荻野さんと石川さんって仲良いよね。幼馴染とか?」
「まあ、そんな感じかな。日下くんと天野くんは?」
「三歳のときからずっと一緒」
「そう、仲がいいのね」
万里の言葉に、笑顔でそう返した。
廊下を歩いているだけで、男女問わず周りの視線が自分たちに集まっているのを感じる。
万里にいたっては、目があった女子には笑顔で手を振っていた。
(やっぱり、というか・・・かなり自信過剰ね)
「・・・人気者は大変ね」
苦笑してみせながら言う真依に、万里は少し驚いたような顔をしてみせた。
「まったまた〜、荻野さんだって人気あるでしょ?」
「そんなことないわよ」
にっこりと笑顔で答えた時には、職員室に到着していた。
コン コン
「失礼します」
ドアを開けようとすると、横から大きな手が伸びてきてドアを開けた。
見上げると、どうぞ、というような笑顔。
「ありがとう」
(女の扱いにも慣れてるってわけね。可愛げなくて嫌ねぇ)