第3章 「幸せ」な日常
フィオナが龍人であることは、3人は知らない。
足がとてつもなく速いのは知っていても、3人の前で手を変化させたり羽を出したりしたことはないので、知らないのも当然なのだ。
もちろん三人のことはとても大好きだったが、そのことを話して普通ではないと恐れられ、関係が壊れることを恐れて言えないでいた。
しかし、そんな中、秘密がバレてしまう時が来た。
ヒューマンオークションを行っている者たちが、フィオナの噂を聞きつけてコルボ山まで来ていたのだ。
魚釣りを楽しんでいる四人の背後から、突如強面な男たちが現れる。
ガサッ!!
物音がした方へ4人が振り返る。
「だれだ?お前ら。」
エースが鋭い眼つきで睨みつける。
「俺達はその女の子に興味があるだけさ。」
「フィンになんのようだ!!」
ルフィが叫ぶ。
「ここらに珍しい子供がいると聞いてねぇ。」
「白銀の髪…。美しい。これだけでもいくらで売れるか。」
「やっと見つけたよ。こっちに来てもらおうか。」
そう言うと、フィオナを素早く捕まえ、慣れた手付きで手足を縛る。
あまりの突然の出来事に、フィオナは逃げることもできなかった。
「フィンに何をする!!!」
サボが戦闘態勢に入ると、一人の男が言う。
「近寄るな、薄汚いお前たちに興味はない。用があるのはこいつだけだ。この娘はかなりの金になる。なんせ、龍と人間のハーフの化け物だからな。珍しいにも程がある。こいつの持つ能力を我が物にしようと全世界が狙っているのさ。」
「な、何を言っているんだ…?フィンが龍の子…?」
エースとルフィ、サボは戸惑いの表情を浮かべる。
フィオナは三人の顔を見ることができず、俯く。
「くくくっ。まぁ、そういう事だ。こいつは貰っていく。」
そう言って男たちはフィオナを担いでその場を立ち去ろうとした。
その時、
「フィオナは俺達の大切な仲間だ!!龍の子だろうが、化け物だろうが関係ねえ!!」
エースはそう叫びながら、男たちに向かって鉄パイプを振り上げた。