第4章 エースとの再開
【エースside】
あの日から10年が経つ。
あの日からフィオナのことを忘れたことは無い。
生きているのか、どこで何をしているのか、連絡も情報も一切なかったが、必ず生きていると信じていた。
17歳で海に出た。
大切な兄弟の、サボのことをふと想う。
俺はフィオナも……サボも守ることができなかった。
サボはフィオナがいなくなって数ヶ月後に、天竜人によって殺された。
もう、こんな思いはしたくない…!
この広い海のどこかで、フィオナは必ず生きている。
白ひげ海賊団に所属しても、フィオナの探索活動は続けていた。
小さな島でも、見つければ上陸して、フィオナを探してもう二年と少し経つ。
「この島も白か…。船に戻るとしよう。」
村の住民に聞き込みをするも、有力な情報は何も得られなかった。
美しい白銀の髪や澄んだ青い目の女性が現れれば誰でも目を留めるだろう。
それなのに、フィオナの情報は全く掴めない。
『変装でもしてたら、厄介だ…。』
この島を出ようと、船に向かって歩いていると、
海岸に一人座っている人を見つけた。
大きな帽子を被って後ろを向いて座っている。
『最後に聞いてみるか…。』
その人に話しかけようと近づいたその時、
【ブワッ!!!】
強い潮風が吹く。
素早く自分の被っているテンガロンハットを抑えると、
前からつばの大きな帽子が勢い良く飛んできた。
「お、っと。」
無意識に、飛んできた帽子を捕まえる。
ふと前を見ると、美しくなびく白銀の髪が視界に入った。
「フィン………?」
まさかとは思ったが、勝手に口が言葉を発していた。
その女はフィオナと似た雰囲気をまとっていたからだ。
「…………エース?」
恐る恐る女は口を開く。
「フィン…!!本当にフィンなのか…?」
コクコク、と頷くフィオナに、今までの思いがこみ上げてきて、駆け寄り思わずフィオナを抱き寄せる。
「お前、どこで何してたんだよ!!ずっと、ずっとずっと心配してたんだぞ!!!」
腕の中でフィオナは泣きながらから小さく震えている。
「ごめ…ん…ねっ。エース、に会え…て、すっご…く、う…れしいっ!!!」
フィオナもエースの背中に手を回す。
ようやく会えた喜びと嬉しさで、しばらくフィオナを強く抱きしめていた。