第3章 「幸せ」な日常
途中でフィオナはいきなり止まると、サボの方へ振り返った。
サボは、フィオナが自分の視線を感じてしまったのかと思い、ハラハラしていると、フィオナが懐に忍ばせていたパンを取り出してサボに差し出した。
「わたしを待っていてくれてありがとう。これ、少しだけどお礼。サボすごく欲しそうに見てたから。」
サボは頬を赤らめながら受け取る。
「お、俺はフィンが危ない目にあう方が嫌だから、待つのは当たり前さ。…でも、ありがとう。ちょうど腹が減ってたんだ。」
頬をさらに赤く染めて、フィオナに礼を言う。
「エースとルフィの分まではないから、2人の秘密ね。」
右手の人差し指をそっと薄桃の唇に当てながら小さく笑うフィオナに、サボは心臓を高鳴らせる。
そして再度サボがフィオナの手を取り、エースとルフィのいる場所へ走り出した。
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「お待たせー!」
そう言いながら2人に駆け寄るフィオナ。
「遅いぞ!フィン!サボ!」
エースは2人が手をつないでいるのを見て、あからさまに不機嫌な顔をし、サボを睨みつける。
それに気づいたサボは、渋々と手を離し、何事もなかったように見えるよう振る舞う努力をした。