第1章 はじまり
内容はこう。
どこぞのお貴族様が流魂街の娘に心を奪われてしまい正妻に迎えると言い出したのだそう。流魂街の娘を妻にってだけでも驚きなのに、またそのお貴族様ってのが瀞霊廷四代貴族の一の現当主ってんだから。
まぁ流石に外聞が悪いと焦った世話役の奴が色々工作を始めた訳だ。ちなみにその世話役ってのがじっちゃんの弟である信恒じっちゃん。
信恒じっちゃんは表だってはその娘を正妻としては迎えられないけれど、なんとか妾として家にいれようとした。けれど流石に正妻を迎える前に妾を侍らせるのもどうなんだと。
そこで考えたのが偽造結婚。まぁ偽造っつっても普通に同じ貴族の娘を迎える訳にもいかず、じっちゃんに相談した所俺に白羽の矢が当たったというわけだ。しかもそのお貴族様ってのがまさかまさかのあの大嫌いな朽木白哉だってーんだから。迷惑な話だよなホント。
それでその話はどうしたかって? 勿論断ったに決まってる。だって結婚だぞ? たとえ偽造っつっても嫌だっつの。
「でも、なぁ……」
あれから早二月と十日。未だ言ってくるとこをみればそろそろ本気でヤバイ……のか? しかもこんな小細工まで仕掛けてきやがって。
噂じゃ同じ四代貴族である志劉院家が長女を朽木に嫁がせようと躍起になってるっていうし。それでなくても毎日見合い話が舞い込んで来て断るのに忙しいって信恒じっちゃん言ってたしなぁ。
「いやいや騙されるな俺! 偽造だぞ? 騙しの結婚だぞ? そんなまともじゃない事に足を突っ込むもんじゃない。うん、そーだそーに決まってる」
とりあえず六番隊への移動は総隊長命令なら仕方がない。たかが一週間だ、我慢してやるさ。それにあちらさんにだって既に話が行ってるだろうし、それを無視なんてしたら一番隊長の名折れだからな。
「こうなったら開き直ってやるっつの!」
六番隊四席、上等じゃねーの、やってやらぁ!