第3章 友の死
なんで? なんの正義感だよ。そう続ければ、何故か仁之心はそれまでよく動かしていた口を閉じてしまう。そのまま俺の方をじっと見据える。
「な、なんだよ?」
今度は何を言う気なんだ? と身構える俺から少しだけ視線を逸らしポツリと。
「友人、だった」
と呟かれた言葉に、俺はパチクリと瞬いた。
「は?」
「阿蘇は私の友人だ。学院時代の」
「はい!?」
樹とこいつが? 友人? マジで!?
「俺長年あいつと幼馴染みやってるけどお前の話なんてあいつから聞いた事ないけど」
護廷十三番隊の死神でも流魂街出身の父親を持つ樹も幼い頃は瀞霊廷御膝下の流魂街で過ごしていた。ときたま父親について瀞霊廷に遊びに来ていて、その時に奴と出会ったんだ。
死神学校でもいつもつるんでたし、奴は友人関係もおおっぴらでいつ誰と飲みに行ったとか聞いてもないのに話して来て嫌でも奴の行動はほぼ把握してて。
でも仁之心? 学院時代の友人? いたっけこんな嫌味なやつ。
過去紹介された奴の友人達を思い返していく。類は友を呼ぶというか、血の気が多くて喧嘩っパヤイ奴らばかりに囲まれてたと記憶している。
あとは……まぁ女にもそれなりにモテていたかな。あいつは興味なさげではあったけど。
あとは……うーん、他にいたかなぁ?
「私とあいつは同期だ。十三番隊に配属されたのはあいつが先だったがな」
「同期? って事は俺とも同期になるんですけど?」
俺と樹が死神学校に入ったのは同時だった。修平はそれからさらに四十年近く後になるけど。いや、今はそんなのどうでもよくて。