第3章 友の死
まるで父母の様に二人並んで俺をたしなめてくる京楽と烈ちゃんに、だってと口を尖らせる。
「だってこいつめっちゃ細かいんだぜ! この間の演習の時だって斬魄刀は毎日磨けだの容易く卍解するなだの五以上の席官は平隊員より前に出るなだのもーうざいったら!!」
朽木への口の利き方も最初はガミガミと言われ続けてたけど最終悪態つくくらいじゃ何も言われなくなった。それでも睨まれはするけど。どんだけ朽木大好きなんだこいつは。
大体卍解するなっていったって仕方ないじゃん百荒天が勝手に出てきちゃうんだからさ。それなのにこの野郎ネチネチネチネチお前はナメクジかってんだ。
「烈ちゃんはいいけど仁之心は無理、拒否。てか虚をぶっ倒す前にこいつを昇天させんぞ俺」
何度そのよく回る舌を切り取ってやろうかと斬魄刀の柄に手をかけたことか。その度にどうにかこうにか堪えた俺の強靭な精神を褒めてやって欲しいね。
言いきってフンとそっぽを向いた俺に京楽と烈ちゃんは小さくため息。他の奴らは苦笑いだ。でもそれに対して仁之心は……。
「情けない」
吐き捨てるように言われた言葉にピクリと俺の眉が跳ねる。
「あ?」
「仮にも護廷十三番隊の一を背に預かる隊長とあろう者が隊務に私情を挟むとは……愚かな。山本家の娘と聞いて呆れるな。やはり祖父兄者が優秀だと末は残りカスになるというのは本当か」
「……は?」
残りカス? 誰が。俺が?
「おいおい仁之心くん。誰が残りカスだって?」
「お前以外に誰がいるというのだ。誤解力も乏しいとは……哀れな」
むっかぁあ!!
「ほらこれこれだよこいつのこーゆーのがムカつくってんだよ! なになんなの何様なんだよ!!」
ビシィッと指さして烈ちゃんに訴えかければ今度は「すぐ泣きつけばいいと思って」と言われ、イラッとして胸倉を掴めば「今度は暴力か」と言われ……。
腕っ節では仁之心より強いと自負しているけど、どうやら口では勝てないみたいだ。最終斬魄刀の柄に手をかけたとこでじっちゃんに一喝されvs仁之心の戦いは終わったわけだけど。