第3章 友の死
「一人は#翠#、もう一人は救護班で私が行きましょう。あと一人、隊長でも副隊長でもいい。どうですか?」
「あー……卯ノ花隊長。それは流石にボクもどうかと」
意義あり、と手をあげながら話に割り込んでくる京楽に烈ちゃんが極上スマイルを向ければ、ひくりと京楽の口元が歪んだ。
「では三人目は京楽隊長で決まりですね」
「はい!?」
可哀想に、意見したために勝手に先見隊の一人に任命されてしまった京楽。青ざめた顔ではくはくと何か言いたげに口が動くが、その口が言葉を発することはなかった。
淡々と話を進めていく烈ちゃんに辺りのざわめきが一層強くなる。そんな中、自隊の隊長の背に控えていた一人が一歩前に歩みでる。
一気に視線が向かったその先。そこには六と記された腕章を身につけた奴が……。
「仁之心!?」
俺の素っ頓狂な声に仁之心はちらりと視線をこちらへと流しつつ、朽木に一礼をした。
「隊長、この任私が参ります」
仁之心の申し出に一瞬、本当に一瞬だけ朽木の瞳が揺らいだのが見えた。でもそれはすぐにいつもの何の感情も読めないものへと戻ってしまったけれど。
「京楽隊長の代わりに、というおこがましい事は言えませんが卯ノ花隊長の盾には……」
「却下!」
盾にはなれると思います、仁之心がそう言い切る前に俺の言葉がそれを遮る。
「却下! 却下却下却下却下却下却下却下!!」
くどいくらい繰り返しそう言いながら仁之心に詰め寄る。何だと眉を寄せる奴にビシッと指を指しながらもう一度「却下!」と言い切った。
「無理! 断固拒否! なんで京楽の代わりがこいつ? 無理無理絶対嫌だ!」
「嫌だと言っても、ねぇ。お前さんの好き嫌いで決めちゃダメでしょこういうのは」
「そうですよ#翠#。今はワガママはやめなさい」