第3章 友の死
「これ以上隊士達を犠牲者にする訳にはいかない。あんたがなんと言おうと次は俺が出る」
「待たぬか#翠#!」
立ち上がりじっちゃんの怒気を含んだ呼びかけを背に隊主室から出ようとした時。
ガッと何かに首根っこを掴まれピタリと歩みをとめられてしまう。
え? と仰ぎみれば、相変わらず優しい笑みを携えた四番隊隊長卯ノ花烈の横顔。ただ、ちょっと違ったのは確かに微笑んでいるはずの表情から少し黒ずんだオーラが出ていた事だ。
「れ、烈っちゃ……?」
ひくりと口元をひくつかせ友の名を呼べば、烈っちゃんはポンポンと俺の頭を軽く撫でた。
「まぁこのままでは状況も変わらないのは本当です。ここは#翠#の言う通り作戦を練り直してみては如何ですか総隊長。じゃないとこの子の性格上、本当に一人で殴り込みに行ってしまいますよ?」
「行っちゃいますよ? じゃなくて行くんだよ今すぐ!」
「はいはい。わかってます」
お前は黙ってろと言うように烈っちゃんが俺の前に回り込みじっちゃんと向き合う。じっちゃんは相変わらず髭をさすりながら見上げる様に烈っちゃんを睨みつけていた。
「流石に隊長副隊長を出すのはどうかと私も思いますが。けれど平隊員ばかりを出すのもどうかと」
「ではなんぞ案があるのか?」
じっちゃんの問いに、烈っちゃんは弧を描いた口元の笑みを深くした。
「単身で出すのがダメなら隊長格を三人で出すのは? 副隊長を含む三人で」
烈っちゃんの言葉に俺はぎょっと目を見開いた。驚いたのは俺だけじゃない、黙って様子を伺っていた他隊の奴らもざわりと身じろいだ。
「や、烈っちゃん、それは流石に俺もどうかと……」
流石に隊長各を三人もとか俺だって言えやしないのに、なんつー事言ってんのこの人は。