第3章 友の死
「うるせぇ俺は一番隊の隊長として話してんだ、副官如きがちゃちゃ入れてくんじゃねぇ!」
言いながら机にゴッと拳を打ち付ければ、副官は口をつぐみ頷いてしまう。
「まぁまぁ山本四席。そうがなったって相手の正体がわかってない以上どうしようもないってのは本当なんだから。ちょっとは落ち着きなさいって」
ほらほら、と俺の肩に掴む京楽の手を振りほどく。
「落ち着ける内容なら俺だってはなっからんなに怒鳴り散らしたりするか! 怒鳴るのだって疲れるんだぞ」
「だからと言って騒いだところでどうにもなりませんよ。そうでしょう#翠#?」
京楽の後に続くように烈っちゃんが俺の背中に手を回し、そのままじっちゃんから引き離すように隊長等が並ぶ列へと引き戻す。
「でも烈っちゃん……」
「この度の事で心穏やかではないのは貴女だけではない。私と……他隊の隊長、総隊長も同じ気持ちです。だから尚更一隊を仕切る隊長である貴女が心を荒立たせてどうします」
「そう、だけど……」
でも、でもあんな殺し方されて黙ってろだなんて無理に決まってる。
「…びが……なかった、んだ」
「#翠#?」
「首がなかったんだ、あいつの亡骸に。腕だって肩から食われてた! それを取り戻したいって、ちゃんと綺麗な身体に戻して葬ってやりたいって思うことがいけない事なのか!?」
樹は左利きだった。だから残魂刀ごと食われたんだろう、左腕がなかった。
鬼道にも長けていた。
残魂刀がなくなっても。腕がなくなっても闘おうとしたんだ。鬼道を使おうとして頭を食われたんだ。
「あんな……っ、あんな姿……っ……あいつにあんな惨めな姿を晒させやがった奴を俺は絶対許さない!」
がくり、とその場に崩れるように膝をつく。そしてガッと床を拳で力いっぱい殴り付けギリっとじっちゃんを睨みあげた。
「次は俺が行く」
その言葉にじっちゃんから「ならぬ!」と即答が返ってくる。