第2章 昔馴染
死神学校と呼ばれる真央霊術院に入るための入試には二回落ち、二期の進級審査に一回落ち、四期進級の時は三回。終いには十三番隊への入隊試験にも二回落ちた。
流石に最近になってそんな事言う奴はいなくなったけどな、俺のが上司になったから。
「凡人でも努力すりゃなんとかなるってわけ。わかるかな修兵くん?」
不機嫌に歪められた頬をツンツンとつつきながら言えば、修兵が小さく舌打ちを返してくる。それに笑いながら「とりあえずさ」と肩を叩いた。
「今から暇なら一番隊に遊びにこいよ。茶くらいは入れてやるぜ」
「お前仕事はどうしたんだよ。今六番隊にいるんだろ?」
「だぁいじょうぶだぁいじょうぶ、今朝副隊長と一戦やっちゃってさ、出ていけって言われたばかりだから」
「はぁ? おまっ、それって……」
今朝出廷した俺。勿論遅刻をしないようにいつもより五分早く六番隊についたわけ。まだ誰もいなかったし、やる事もなかったしで茶を入れて朝のおやつタイムを楽しんでたんだけど……。
「そん時丁度仁之心が出廷して来て開口一番「出ていけ」だもん。腹たっちゃってさ」
「そんでどうしたんだ?」
「とりあえず一発腹にぶちこんで気絶したとこを自由奪って床に転がしといた」
鬼道系は全般的に弱い俺だけど、体術と瞬歩(もとい逃げ足ともいう)だけはそれを専門とする二番隊隊長のお墨付きだ。ま、仁之心が例え十三番隊でそれなりの実力者と呼ばれていても抜刀さえさせなきゃ軽い軽い。
「お前よぉ……」
修兵が呆れを滲ませた視線をじとりと向けてくる。
「先に喧嘩をふっかけてきたのはあっちじゃん。俺はただ買ってそれで奴が負けただけ。だろ?」
「はぁ……。ほんと昔っから変わってないのなお前」
「回りに流されない人と言ってくれたまえ檜佐木23席」
「ハイハイもう行こうぜ。茶いれてくれんだろ?」
「あーまたそうやって話の腰を折る! お前だってそう言うとこ変わってないじゃんか」
「ハイハイ」
「おい修兵! 大体お前はなぁ━━」