第2章 昔馴染
「山本四席」
緋真とお茶休憩(in朽木家)をした後、隊舎で食べようと色々菓子を両手いっぱいに買い込んで瀞霊廷に戻る道すがら、そんな声をかけられふと歩みをとめた。
振り返った先で視界に入った人物に、俺の表情がぱあっと満面の笑みになる。
「修兵!!」
パタパタと数メートル先に立つ声の主に走りよる。笑顔の俺とは反対に、修兵と呼んだ青年は何故か呆れ顔だ。
「何だよ?」
「お前……相変わらずだな」
小さく溜め息をつきつつ、そう返してくる。
「一番隊の隊長になったっつーからちょっとは成長したのかと思えば」
「バッカ、隊長仕事っつーのは体力使うもんなの。=腹が減る。自然の摂理じゃないか」
「お前は喰いすぎだっつんだよ。それに今六番隊の四席なんだって?」
「ああ、それには色々理由が……つか死神学校の生徒のお前が何でこんなとこいるのさ」
首を傾げつつ問えば、修兵は自慢気に口端を吊り上げつつ俺の前に一本の刀を差し出した。それは護廷十三番隊に入隊した新人死神に手渡される斬魄刀という刀だった。
「斬魄刀? 何でお前が……」
あれ? って事はこいつ……。
「檜佐木修兵、今日から七番隊第23席だ」
「はぁ!? お前が席官!?」
俺とは幼い頃からの付き合いのある修兵。昔は女の俺が呆れる程の泣き虫で恐がりのガキだったんだ。そんなこいつが丁度俺が死神学校を卒院するのと入れ替わりで死神学校に入学したと聞いた時にゃなんてバカな事をしたんだと思ったもんだ。
死神学校に入ったってのにも驚いたけど、まさか席官だなんて……。
「はぁ~……なんつーか、とりあえずおめでとう」
「何だよ、お前だったら悔しがると思ったのによ」
「悔しがる? 何でさ」
「留年しまくりのお前と違って俺は跳級してでの主席卒業だから」
「だから?」
修兵の言葉の意図がわからず首を傾げたままでいれば、最終奴は
「……つまんねー奴」
と呟いてもう一度溜め息をついた。それでようやっと何が言いたいのかがわかり「ああ」と頭を振った。
「嫌味をいいたいならもっとえげつなく言わねぇと俺にゃきかないぞ」
「何でだよ」
「だって俺副隊長にあがるまでずっとお茶汲みも出来ないお荷物平隊員だの山本家の面汚しだの言われまくったから。お前のなんて温い温い」