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気まぐれな君

第1章 ネコ


二日前。
俺は一人暮らしを始めた。
バイト先はコンビニだが、親からの仕送りで何とか生活を切り盛りしていた。
今日は12時で終わり、帰ってきてからパソコンで動画を見ていた。
トップに上がってた猫特集を見て、猫を飼うことを決め、その日にペットショップへ行った。
だが一人暮らしで財政もキツキツな故に、値段を見て目玉が飛び出そうになる。
帰り道の途中にある自販機でコーヒーを買っていた時だった。
足元に、何かが擦り付けてくる。
ふと見たら、白と黒の、まるでダルメシアン見たいな子猫がそこにいた。
(どっから来たのか……)
首輪も着いていない。この辺に飼われている猫だろうかと思ったが、近くに段ボールがあることに気付いた。
そうか、この子猫は捨てられたのだ。
痩せ細って、今にも死にそうなその子猫を見捨てることができなかった。
家に帰ってきてから、泥塗れの子猫を風呂に入れ、急いで近くのドラックストアで猫缶を一個買い、皿に移して子猫に与えた。
子猫は嬉しいのか、みゃーと鳴き声を上げながらガツガツ食べていた。
可愛い。見ていて癒されるなぁ。
風呂に入った時に気付いたことだが、この子はメスだった。
俺はこの子に【ルル】と名付けた。
ルルはお風呂に入るのを嫌がり、部屋中を掛け走った。
捕まえるのに苦労したが、いざ洗ってやると、何とも気持ちよさそうな顔だった。
よく体を拭いた後、ドライヤーで乾かした方がいいのか分からなかったから、タオルを巻いていた。
まあ、ルルはそれが嫌で何度もタオルから抜け出したのだが。
一息つこうとタバコを手に取ろうとしたが、猫がいるのにタバコを吸うなんて、有害ではないのかと思い、タバコを吸うのを止めた。
猫じゃらしなんてないから、ズボンの紐で猫じゃらしみたく、ルルの前で動かしてみるが、特に反応は無し。
他にも、家にあった毛糸(親からの仕送りの中に何故か入っていた)を転がしてみても反応なし。
何が反応するのかいろいろ試してみたら、置いてあった写真を不思議そうに眺めていた。
興味があるのか、ルルの前に置いてみるとそこからじーっと見ていて、視線を外さない。
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