第18章 再会
外に出て、亮太と向き合ったとき、亮太が先に口を開いた
「…あのときは、悪かった。」
「いいよ。もう過ぎたことだし、私も悪いところはあったから。」
私達が付き合いだしたのは私が中二、亮太が中三の時だった
付き合いだしたときは順調だったものの、亮太は受験で頭がいっぱいだったし、私は亮太が構ってくれなくて寂しかった
お互いの意見が噛み合って、気がつけば同じ学校なのにメールだけの関係。
そしてついには私たちは別れたのだ。
あの頃の自分には配慮が足りなかったな、と思う
でももしかするとタイミングが悪かったのかもしれない。
私が中一で、亮太が中二だったら。
もしかしたらうまく行っていたかもしれない
恋にはきっとタイミングも重要なのだ
「別れて、受験終わって気がついたら。俺、お前に何てことしたんだろうって。告ったのは俺なのに、デートのお誘いもお前からばっかりで、俺が勉強忙しいからってふいにしてしまったりとか。」
確かにそれは結構傷ついたな
「お願いがあるんだ」
亮太は緊張した面持ちで言葉を紡ぐ
「俺とのこと、過ぎたことにしないで欲しい。」
「え?」
「何を今さらって思うかも知れないけど、お前ともう一度やり直したい。」
亮太の真剣な目が私のほうへと向けられる。
でも、私はもう答えは決まっている
私は亮太に詫びて、その場をあとにした
あの頃は嫌なこともあったけど、幸せなこともあったよな…
あの胸の高鳴り、あの頬の熱、亮太と歩いた道、一緒に過ごした図書室。
キラキラと輝く思いではたしかにあった。
私は日代君のもとへと向かいながら、自然と亮太とのことを思い返していた。
「…。大丈夫だったか。」
日代君が私に気づいて尋ねてくる。
「うん、ごめん。ちょっと休んでていい?」
私は日代君の隣に座って机の上に突っ伏した。
きっと、私の顔は泣き顔に違いない。
彼にこの顔を見られたくない。
頭の中をめぐる、亮太との思い出を消すように、強く目をつぶった