Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第5章 あい・らぶ・ゆー!《鎌先 靖志》
【鎌先 side】
俺に抱き付いて、わんわん泣く海宙。その光景が信じられなくてしばし呆然とする。
『ごめ、っく…なさい…ふぇ、えぇえ…』
「な、泣くなよ、泣くなって、頼むから!」
俺から顔をひっぺがし、体を起こしてやれば、目元が真っ赤になっていた。だから言ったのに、泣くなって。
下唇を噛んで、必死に声を堪えようとする海宙。何度も涙をぬぐう。
「ホラ、こんなのしか無えけど拭け」
『え?…Tシャツだよ、コレ?』
「さっきまでここで泣いてただろーが!いいから拭け!」
そう言って、彼女の頭をボスッと俺の腹に押し付けた。しばらくそのままだったが、ぽつりと呟く声が聞こえた。
『…私のこと、また好きになってくれる?』
「え?」
ビックリして訊き返すと、彼女が声を震わせた。
『だって、さっきので嫌いになっちゃったでしょ?ごめんなさい。私、鎌先が好きなの。自分でもビックリするくらい、好きなの。別れよう、って言われて、胸にぽっかり穴が開いちゃったの…』
どうしようもないくらい、好きなの…
吐息混じりに呟く彼女。躊躇(ためら)っていた手を伸ばし、ゆっくりとその髪に触れた。
彼女は自分の気持ちに正直になって吐露したんだ。今度は、俺の番だ。