Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第5章 あい・らぶ・ゆー!《鎌先 靖志》
なんかもう落ち込むよね、これ。後輩にバカにされて?彼女にそれをスルーされて?肩を落としていると、てこてこ彼女が目の前にやって来た。
『ごめんね、鎌先。よしよし、いーこ』
背伸びして頭を撫でる海宙。可愛い。そんな光景を、二口がニヤニヤしながら見物している。
「ヒューヒュー、おアツいですな~」
『だ、黙んなさいっ///』
「ウギャース!!」
バッチーン!とさっきよりもハデな音が鳴る。ちょっと照れながら言ってるのが、これまた可愛らしい。
『ほら、行くよ!』
ズンズン歩く彼女の後ろを、慌てて追う。どこ行くんだっけ?そうだ、今日は、部室の掃除をするんだ。
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
『開けるよー』
「いやっ、ちょっ、まっ、だめだめだめ…」
蒼井がドアノブに手を伸ばすと、必死で阻止しようとする二口。それを止めようとする青根。
『はぁ?二口、邪魔、どいて。青根、よろ』
「…サーセン」
「………」(グイッ)
二口、撃沈(笑)
ギイィ…と軋みながらドアが開く。むわっと臭うのは、生乾きの雑巾というか、消臭されてない汗の臭いか。
『くっさ!てか、きったな!』
足の踏み場もない部室。そこいらに脱ぎ捨てられたTシャツ、短パン…ユニフォーム。
いつのか知りたくもないオニギリ、いつのか知りたくもない菓子パン、そしてやっぱりいつのか知りたくもない炭酸ジュース。
『…あんたら、覚悟しなさいよ』
それから地獄のお掃除が始まった。