Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第40章 最高の誕生日《澤村 大地》
布団でごろごろして、手帳の整理をしていて、ふと気がついた。
『……生理、最後に来たの、いつだっけ?』
パラパラとめくってみると、生理が来た印は8月で止まっていた。学生の頃から生理不順が起きやすく、1週間と空けずに来たり逆に2ヶ月来ない、なんてこともあった。
それにしても、だった。
『どうしよう…あれ、おかしいのかな…?』
一度気になってしまうとどうしようもなく、何をするでもなく部屋をうろうろする。
杞憂なのかな、いやでも、万が一にすごい大きな病気だったらどうしよう。負の思考はぐるぐるとループしてしまい、どんどんと悪い方向に想像がいってしまう。
『あー、ダメだ。病院行こう』
善は急げ、という言葉通り、ちゃちゃっと準備を済ませる。パジャマからジーンズにセーターというラフな格好に着替え、保険証やサイフといった最低限の荷物をトートバッグに詰め込んだ。
最寄りの産婦人科は、一駅ほど離れたところにある。そこまでのたった15分が、永遠に感じられるほどに、長かった。
病院はそこそこ混雑していた。受付を済ませ、何気なく雑誌をパラパラと読む。待ったのはほんの少しで、程なくして"澤村さん"と看護師さんに呼ばれた。
「今日はどうされましたか」
事前に書いたカルテを見ながら、先生が訊いた。お腹が痛いのと、生理がしばらく来ていないことを告げると、少し考えてから先生はこう言った。
「澤村さんは結婚されてるんですよね」
『はい』
「最後にしたのはいつですか?」
『……はい?』
思わず聞き返すと、先生は困ったように笑った。何か、変なことを言っただろうか。
「ですから、旦那さんと最後にセックスをしたのはいつ頃のことですか?」
『………あぁ!』
なんだ、そのことか。
『えっと、たしか9月です…』
「そうですか。では、もしかすると―――」
妊娠しているかもしれません。
心臓が、止まるかと思った。