Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第40章 最高の誕生日《澤村 大地》
【海宙 side】
12月の、とある休日の朝。
目が覚めると、お腹が痛かった。
『うっつ…痛たたたた……』
寝室を出てのろのろとリビングに向かう。ドアを開けると、ふわりとコーヒーが香る。
「海宙、おはよう」
『ん、大地くんおはよ…』
キッチンでコーヒーを飲む大地くん。挨拶を返し、ふらふらパタリ、とソファに倒れる。どうしよう、お腹が痛いだけじゃなくて、ものすごく気持ちが悪い。
「具合、悪いのか?」
『うぅん、大丈夫…多分、生理痛とか…』
「あぁ…じゃあ薬、出しておくな」
背後でガサガサと棚を漁る音がする。それからペタペタと裸足の歩く音。むくりと状態を起こしてみると、大地くんはコートを羽織るところだった。
『あれ、今日も会社?』
「あぁ。休日なんだけど、どうしても今年中にやらないといけなくて。ごめんな」
システムエンジニアの大地くんは、最近仕事がとっても忙しい。年末だからかもしれないけれど、残業続きに休日出勤。顔には出してないけど、疲れてるんだろうなぁ。
『うぅん、大地くんが謝ることないよ』
「しっかり休んでな」
そう言うと、手を広げる大地くん。そこに迷わず飛び込むと、ふわりと優しい香りがした。
高校の後輩で、弟の同級生の大地くん。結婚したのは1年と少し前のこと。それから同居してたアパートから、駅にほどよく近いこのマンションに引っ越してきた。
それから毎日欠かさずしてること。それが、いってきますとおかえりなさいのハグ。
『いってらっしゃい。気を付けてね』
「ああ。いってきます」
ぽんぽんと頭を優しく撫でると、大地くんは鞄を手に家を出ていった。
その後、薬を飲んだにも関わらず腹痛は収まることはなかった。結局、その午前中を何もできずに過ごしてしまった。