Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第39章 ★Snow Magic 《大将 優》
Ⅲ"合コン当日、24日、夜7時。
【蒼井 side】
『どうしよ…』
バスに揺られながら、腕時計をチラリと見る。短針はもうすぐ7を、長針は11を指すところ。約束の時間である7時まで、あと5分しかないのだ。
『ムリ、間に合わない…』
そもそも、郊外にある自宅からバス一本で行こうとしたのが間違いだった。例年にない大雪で、道路は狭く、バス通りでも片側一車線という状況。限り無く、ムリだ。
狸小路の近くのこじゃれたお店が合コン会場。そこまで、軽く見積もってもあと10分はかかる。ダメだ、連絡しよう。LINEのグループトークで遅れることを告げると、先に始めてるからゆっくりおいで、とのこと。
ようやく最寄りのバス停に到着、それから滑りやすい路面を身長に駆け足。時折吹く北風が、マフラーの隙間から首筋に入り、寒い。
結局、約束から15分遅れてお店に着いた。友人の言葉通り、合コンは既に始まっていた。
『ごめんなさい、遅れました』
「あー、海宙やっと来た~!」
とりあえず慣れるまで、ということなのか、男子と女子に別れて座っていた。私は手招きする友人の隣の空いていた席に座った。
「珍しく遅かったねぇ。バス?」
『うん。雪道だったから』
それから自己紹介やら何やらが始まった。今回の合コンは男女がそれぞれに6人ずつ。男子のリーダーは、テニスサークルの爽やか君こと原野(はらの)君、女子は私の一番の仲良しの千智(ちさと)。
一通り自己紹介が済んだところで、席替えをし、男女交互に座ることに。運が良いのか悪いのか、原野君の隣になった。ちなみに左側は通路なので、少し安心した。両サイド男性っていうのは、さすがに気が引ける。
「蒼井さんだよね?よろしく」
『よろしく、お願いします…』
原野君にペコリと軽く会釈。方々から聞こえる笑い声を聞きながら、ウーロンハイの注がれたジョッキを眺める。ゆらゆらと揺れる琥珀色の表面。不安定で不定形で、まるで私のようだと思った。