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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第39章 ★Snow Magic 《大将 優》



俺の返答を待っている拓真に、言う。

「拓真ぁ」

「ん?」

「好きなコ、いたわ」

「ほぉ、どんなコ?」

どんなコ。アイツは、どんなだったろうか。俺より全然背が低くて、口を開けばケンカばかりで。でも、不思議と居心地が良かった。隣にいると、作り笑いとかじゃなくて自然に笑えていた。

ぼやけた笑顔が脳裏に浮かぶと、言葉は自然と口から出てきた。

「幼馴染みでさ、冷たくてアイソ無いヤツだった。でもそれって、口下手なだけなんだよな。笑うと、意外と可愛いし」

へぇ、と呟いてから、拓真は笑った。

「優、今も好きなんとちゃうんか」

「まさか。5年間も音沙汰なしだぞ」

コーラを飲んで、ふと考える。俺がわざわざ札幌の大学に進学した理由。それは紛れもなく幼馴染みの、みそらのせいだ。みそらが引っ越した街に来れば、会えるかもしれない、なんて淡い幻想を抱いて。

札幌ともなれば大学はごろごろあるし、会える確率なんてものは、低いのに。

「会えるとええな」

「何が」

「お前と、幼馴染みチャン、いつか会えるとええなぁ思て。そやろ?」

「そうだな…」

先程までのニヤニヤ笑いではなく、純粋に。拓真はからりと笑った。俺も小さく笑ってから、窓の外へと目を移す。いつの間にか、雪が降っていた。先輩達と拓真の声をBGMに、ぼんやりと考える。

いつか。いつか、みそらに、会えるだろうか。もしかしたら、ここで、札幌で、みそらに会えるかもしれない。

それは、ぼんやりとした輪郭のないものではなくて。なんとなく、確信に近かった。perhapsではなく、surelyだった。

「会える、かな…」

「会えるんとちゃう?願ってたら、きっとサンタクロースが叶えてくれるやろ」

誰にともなく呟いた言葉に、やっぱり拓真はからりと笑った。ニヤニヤ笑いでない、作り物でない、そんな拓真のこの笑顔が、俺は好きなんだと思う。

もしサンタクロースが本当にいるのなら。どうか、みそらに会わせてほしい。

どこかにいるであろう白い髭のじいさんに願い、ぐいっとコーラをあおった。シュワシュワの炭酸が、喉をピリリと通り過ぎた。


   
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