Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第39章 ★Snow Magic 《大将 優》
Ⅱ"24日、正午。
【大将 side】
クリスマスパーティーに誘われたのは急で、それは昨日の夜中だった。枕元でスマホが鳴り響き、ディスプレイには"サメ先輩"の文字が書いてあった。
《優、お前明日はどうせヒマだべ?ならさ、明日のクリパ、来いよ!》
「………は?」
開口一番、なんですか?
男バレと女バレ合同のクリスマスパーティーをやるのは、サメ先輩こと鮫島先輩から聞いていた。俺は興味が無いと断った筈だったが、どういうことか。
《いやさ、優は見てくれが良いべ?》
「見てくれって…」
まぁ、見た目が良いからと合コンに誘われたこともあるっちゃあるが。
《同じ店で合コンやるって修都(しゅうと)が情報持ってきてさぁ。合コンから何人か女の子引っ張れるかな~って、修都が》
サメ先輩、セコいです。そして考えた修都先輩も、腹黒です。
「分かりました、行きます」
《お、やっぱ来てくれんのか!》
どうせ相手先には俺が行くことを伝えてあるんだろうし。
《じゃ時間とかは後でLINEすんな》
「リョーカイっす」
《夜中に悪かったな。じゃ、おやすみ~》
ぷつ、と通話が切れる。直後に猛烈な睡魔に襲われて眠ってしまった。それが、昨日の夜のことである。
で、今。サメ先輩に呼び出され、お昼休みに向かった先は、ハンバーガーのチェーン店。そこそこタッパのある男4人がボックス席にぎゅうぎゅう詰めになっている。
「サメ先輩、やっぱ行かなきゃダメすか?」
「当たり前だべ!何言ってんだよ」
「そーだぞー、すぐるー」
いや、そーだぞって。全ては修都先輩の悪巧みからじゃないですか。誰が来るだのと話している先輩2人に若干呆れつつ、BLTにかぶり付く。
「のぉ、好きなコとかおらんの?」
そう言うのは、関西出身の同級生、拓真(たくま)だった。なかなかに裏のありそうなヤツだが、仲は良い。故郷を離れ雪国に来たという点でも、俺と拓真は気が合う。
「いない」
「つまらんのぉ」
ニヤリ、と笑って拓真は言う。
「いや別に…気になるコもいないし」
恋、か…最後はいつだったっけ。あぁ、高3でミカちゃんと付き合ってたんだ。大学に入ってからは連絡も取らず、自然消滅。
じゃあ、その前は…そう、思いを巡らせて苦笑した。いたいた、中学までの間、ずっと好きだったヤツ。