Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第39章 ★Snow Magic 《大将 優》
カフェで軽くお昼をとった後、合コン用に新しい服を買おうということになった。友人の"出会いのため!"という理解不能な理由で、今日の授業は全て休むことになった。
札幌の都心から、地下鉄とバスで1時間弱にあるアウトレットパークに向かう。早速お店を覗くと、今の流行りはこの冬のトレンドなどが、クリスマスの装飾と共にあった。
「これは?あ、これとか!」
『んー、こっちのが合うんじゃない?』
「ねぇねぇ、こんなのは!?」
『う~ん…雰囲気的に黄色よりもピンクの方が可愛いし似合うと思うよ』
いろんなお店を見て、それぞれに似合う服を選んだ。私はセンスが良いのか何なのか、あっちこっちに引っ張りだこだった。
「私らのは一通り済んだし、今度は海宙のも選らんだげるよ」
『いや、私は…』
合コンにあまり乗り気ではないし、別に服なんていいのに。そう言ったけど、友人はノリノリで探しに行った。キャーキャー服を選ぶ友人達を、ぼんやりと眺めていた。
それから、なんとなく鏡に映る自分を見る。ありきたりなジーンズにお気に入りのセーター、ムートンにダッフルコート。どこにでも居そうなのに、どうして誰も私を放っておかないのだろうか。
私は一人がいい。煩いのは、苦手だった。
はぁっとため息を吐く。そこに何着ものワンピースを手にした友人達が戻ってきた。そして着せ替え人形のように扱われる。
『私はどれでもいいんだけど…』
「海宙はスタイルいいから選びがいがあってホント楽しいよね~」
「脚も長くてキレイだし」
「おまけに肌も白いし」
『買い被りすぎじゃない?』
そんな会話をしつつ、3人の友人が決めたのは、紺色のワンピース。飾りと言えば襟元と裾の黒いレースくらい。そのシンプルなデザインに惹かれた。
『あ、可愛いかも』
「じゃあコレにする?」
『うん』
それから明日の合コンにはそれを着てくることを約束して、解散ということになった。
帰り道、東西線に揺られながら手帳を開く。いつも持ち歩いている写真。2つ下の妹とのツーショット。そしてもう1つ、中学の卒業式にスグくんと撮ったもの。
『会いたい、なぁ…』
毎年毎年、サンタさんにお願いする。スグくんに会わせてほしい、と。望みは叶わないと知っていても、想いは募るばかりだった。