Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第39章 ★Snow Magic 《大将 優》
Ⅰ"合コン前日、23日。
【蒼井 side】
私の両親は、いわゆる恋愛結婚だった。2人の脳内はいっつもメルヘンで、私は真逆の冷静で大人しい子に育った。
世間的に見ると私は美人らしく、その性格と相まってついたアダ名は"氷の女王"。ツンツンした子に育った私だったけど、一応可愛らしい子供時代もあった。
クリスマスにはサンタさんが来る。そう思って過ごした幼少期。でもそれは、小5のクリスマス、幻想に散った。お母さんがツリーの下にプレゼントを置くのを見たのだ。
でも、サンタさんはいる。その思いは、20歳になった今でも変わらない。
そしてきっと、いつか運命の人に会わせてくれると、思っていたりする。
「明日の合コンなんだけど、いろんな学部からイケメン取り寄せたからね~!」
友人の一言でわっと盛り上がる女子達。カフェのチェーン店に集まった4人の女子大生。何でかって言うと、合コンのこと。
『合コンねぇ…別に興味ないけど』
「アンタが来るだけで男子が集まんの!」
いや、私的には行くイミがないのですが。
どこの誰が来るとか、誰を狙ってるとか、そんな会話に華を咲かせる友人達にクスリと微笑み、窓の外に目を向ける。チラホラと綿のような雪が降っている。予報では、ホワイトクリスマスになるようだった。
「海宙はさ、好きな人いないの?」
『いない。あ、でも…』
「ん?」
『幼馴染みが好きだった』
幼馴染みが、好き"だった"。
今もなのか。それは分からない。最後にあったのは、もう5年も前なのだから。私が高校入学と同時に東京から札幌に引っ越して、それっきり音信不通だから。
「その幼馴染みクンはさ、どこにいるの?」
『さぁ?東京かもしんないし、もしかしたら外国とかに留学してるのかも』
覚えてるのは、バレーが好きだったのと、ウソが通じなかったことだけだ。
「ね、その子の名前は?」
『ヒミツ』
「なぁんだ」
興味をなくしたのか、それきり友人がその話題を持ち出すことはなかった。クリスマスまで、あと2日。今年こそ、サンタさんが運命の人を連れてきてくれないだろうか。
そうしたら、色褪せて見える街並みも、少しはマシになるかもしれない。カラン、と。冷たいアイスコーヒーの氷が鳴った。
―――スグくん、今どこで、何をしてるの?