Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第38章 ☆世界一、君が好き。《及川 徹》
晩ご飯をうちで食べるという徹のために用意するのは、THE・和食。
キノコと枝豆の炊き込みご飯。お砂糖を入れた甘めの卵焼き。野菜たっぷりの筑前煮とだしの染みた大根の煮物。それから、ちょっと値は張るけど美味しいお刺身も。
用意が終わったちょうどその時、ピンポーンとチャイムが鳴る。パタパタと走り、ドアを開ければ、そこには待ちわびた徹の姿。
『とおるっ!!』
「おっと。ただいま、海宙」
『おかえりなさい、徹…っん!』
ちゅ、と徹が唇を塞いだ。びっくりしていると、薄く開いた唇から舌が侵入し、私の口内でイタズラを始める。
玄関先でなんて、ダメなのに。分かっていても理性が崩れそうになるのは徹だから。ふと岩泉達の存在を思い出し、徹の胸板を叩く。
「っふぅ、と、何、どしたの?」
『ぎ、ギャラリーがいらっしゃいます…///』
振り向けば、ニヤニヤ顔が3つ、リビングのドアから覗いていた。クスリと徹は笑ってから、私の頭を優しく撫でる。
「ごめんごめん。だって海宙があんまり可愛いもんだから、ついね」
『つい、じゃないっ!もう、ご飯にしよ!』
徹からコートを受け取り、スタスタと歩く。目線はずっと、下のまま。だってこんな、真っ赤になった顔なんて、誰にも見せられるわけ、ないじゃないの。
それからご飯を食べた。どの料理も徹は美味しいといってくれ、ご飯を何杯もおかわりしてくれた。やっぱり米が恋しかったらしい。
ひとしきり思出話などをした後、岩泉達は帰っていった。珈琲でも淹れようかと思っていると、後ろから徹が抱きしめる。
『徹?』
「海宙、シたい」
振り向くと、不意打ちのキス。それも、とびっきり深いやつ。まるで半年分を全部使っちゃうような、身も心も蕩ける、キス。
『んっ、ふ…んっ、ぁ、とぉる…っ』
「ごめん。俺、ホント余裕ないから」
困ったように笑うと、徹は私を抱き上げてベッドに向かった。その夜、一度中で果てると、徹はすぐに寝てしまった。きっと、疲れきっていたのだろう。逞しい胸板にすり寄り、その心音に耳を澄ませる。
『徹…お疲れさまでした』
左胸のところにちゅっとキスをする。腰を抱く手に、少し力が籠ったのを感じ、小さく笑みを溢した。安らかなその寝顔をまぶたに焼き付けてから、私も目を閉じた。