Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第33章 ★君と俺の8秒間《瀬見 英太》
………ん…私、誰かに揺すぶられてる。うぅ、もう少し寝てたいのに…
「…い、……お……ってば」
『んぅ……あとごふん…』
「おい、蒼井ー」
『…ん……だれぇ?』
「俺、タオルかけないとカゼひくぞ」
ぼやぁっとする意識の中、視界には愛しの英太の姿。手伝って、と思い手を伸ばすと、英太が起こしてくれた。
「風呂は?」
『やだぁ…もぉ眠いぃ…』
「んじゃ寝るか。明日の朝シャワーな」
『うん…』
英太は私をもう一度寝かせると、その隣に寝転がった。胸板にすり寄ると英太は優しく背中を撫でてくれた。
「なんだよ、甘えた?」
『ん。もっと、ぎゅうして』
「はいはい」
嫌な顔なんて1つも見せず、英太は私を抱きしめてくれた。英太に触れてる部分がじんわりと温まる。
英太は面倒見がいいし、優しい。何しても基本的には怒んないし、あ、たまに覚とか工には刺さること言うけど。だからこのお願いも訊いてくれるかな…
『英太ぁ…』
「どーしたの?」
『…ちゅうして、ほしい、です…///』
「………蒼井、え、誘ってんの?」
"誘ってんの"なんて、そんなわけないじゃないの!私がいつ、どこで、そんな積極的になったことありますか、ねぇ!?という叫びは内封し、英太の胸をぽかすか叩く。
『ばっ、なっ、そんなわけないでしょっ///』
「あ、照れてる~」
『ちがっ…んっ!?』
けらけらと英太が笑った直後、突然に口を塞がれた。あ、キスしてる…と思ったはいいものの、呼吸ができない。う、私、キスへた…
「ふっ、鼻で息しろってば」
『っむ、むり…死にそ…ぅんっ』
英太は鼻で笑うと、それからもう一度口付けた。今度はさっきよりも甘くて、深くて、蕩けそうになる。
『んっ……ふ、ぅ…ん…っふ、ぁ…』
息が苦しくて口を薄く開けば、そこから入り込む英太の舌。互いの舌が絡んで、それで、私の口内を英太が蹂躙してくみたいな。
たいして長くもないキスだったのに、私ははぁはぁと荒い息をしていた。そして心なしか、体が、熱いのだ。
「ふぅ、ごちそうさま。んまかった」
『あ、あの、英太…』
「ん?まだ足りない?」
『……先、行っても…い、いよ…』
たっぷり8秒、見詰め合う。
それはまるで、
私の大好きな英太の、
英太だけのサーブの時間みたいだった。