Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第33章 ★君と俺の8秒間《瀬見 英太》
【蒼井 side】
なんとなく成り行きでお邪魔することになった英太のおうち。あれ、もしかして付き合ってから行くの初めてじゃないかな?
『ね、英太』
「ん?」
『私の家に来たことあったっけ?』
「そーいやまだだな…」
『じゃあ今度遊びに来てね。ママに"自慢の彼氏だよー"って紹介したいもん』
ねー、と見上げれば、心なしか赤い顔。ちょっと照れてるところがかわいい。照れてるでしょ、と言ったら、違うしバーカとチョップされた。くすぐったいけど、なんだかほんわかしてて、嬉しかった。
そして到着、英太の家。新しめできれいだなぁと思いつつ、階段を上る。上って右の部屋が英太の自室だった。
「ちょい散らかってるかも」
『そんなことないよ。むしろ覚の部屋の方が男子!って感じのだったし』
思い出す覚の部屋は、本棚に所狭しとマンガが並んでおり、足の踏み場はあるけどなんというか、散らかっていた。
一方で英太の部屋。シンプルなモノトーンですっきりと片付いている。人の性格が現れるもんなんだなぁと感心。
「風呂とかどうする?」
『あー、英太先に入っていいよ。てか着替えとかどうしよう…』
下着…はどうしようもないか。でも上に着るのは制服以外が嬉しい。
「じゃてきとーに俺の服貸すわ」
『うん、なんかごめんね』
「お、俺はありがとうの方が聞きたいな」
『あ、りがとぅ…///』
面と向かって言うのが恥ずかしくて、ごにょごにょと呟く。とっさに俯いちゃったけど、私いま、顔真っ赤だ。
そんな私の頭をぽんぽんと撫で、適当に寛いでてな、と英太はお風呂に向かった。
適当にって…どうしよう。なんとなく部屋の中をうろうろする。あ、この写真、修学旅行のやつだ。こっちはインハイで宮城県代表になったときのやつ。
部屋には私の知らない英太がたくさんいて、それが少しずつ知っていくのはとても嬉しかった。これって彼女の特権だよね。
うろうろしててふと、急激に睡魔に襲われた。ここ数日ちゃんと寝てなかったからかなぁ、まぶたが重い。
『ダメだ、寝そぅ…』
抵抗も虚しく落ちる寸前。唯一分かったのはばふっと英太のベッドにダイブしたこと。そこから先の意識は、ずるずる暗闇の中へと落ちていった。