Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第29章 ずっと、君だけを。《烏養 繋心》
8年ぶりの部活はとっても楽しかった。マネの2人は可愛いし、私が烏野の卒業生で繋心の同級生だと知ると、部員たちはこぞって質問を投げてきた。
「烏養コーチってどんな生徒でした!?」
『んー、龍之介君みたいな感じ?』
「おおお俺っすか!?」
「勉強は!?」
『んー、中の下…とか?』
「じゃあっ、付き合ってた子とか!?」
『あー、私だよ?』
「なるほど海宙さん………えっ!?」
みんなが唖然としている。あれ、私なにかヘンなこと言ったかな?そう首を傾げると後頭部をしこたま叩かれた。
『いっ、いっ、痛いじゃんか!?』
「バカてめー、なに暴露してやがる!?」
『はぁ!?過去の1つや2つ良いじゃないの。可愛い後輩ちゃんなんだから』
「だからって、言って良いことと悪いことがあるだろーが、バカかお前!」
『あーもう、バカバカうるさいなぁ!』
「おう何度でも言ってやる、バーカバーカ」
バーカ、うっさいハゲ、んだとババァ!同い年じゃないの!精神年齢だよ、小学生以下の繋心に言われたくない、云々かんぬん。
白熱する口論を遮ったのは、金髪ノッポの1年生、蛍君だった。
「あの、痴話喧嘩なら外で良いデスカ?」
『痴話喧嘩じゃないもんっ!』
「月島ァ!」
「2人とも、落ち着きましょう、ね!」
顧問の武田先生の仲裁でなんとかなったものの、私と繋心は険悪な雰囲気だった。
あーあ、変わんないなぁ。些細なことでいつの間にか大喧嘩、でも原因すら忘れて明日にはまたいつも通り。そしてまた喧嘩。
いまだ火花を散らす私たちにトビオが一言。
「……これで付き合ってたのか…?」
『トビオ、世の中には言っても良いことと悪いことがあるんだよ?』
「そっくりそのまま海宙に返す」
『それは…ごめん。もう随分前のことだからさ、良いかと思って』
素直に謝ると、繋心はばつの悪そうな顔をした。それから頭をがりがりと掻く。
「俺も怒りすぎたよ、悪かった」
『うん…じゃ、飲みに行こっか!』
調子良いな、おい!と背中をバシッと繋心が叩いた。それから2人でげらげら笑う。なんだかんだで仲も良いのだ。
部活の片付けを済ませ、繋心の車で"おすわり"に向かう。繋心の話は相変わらずバレーばかりだったけれど、とても楽しかった。