Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第28章 放課後でぇと《木葉 秋紀》
世界的に有名な"M"の帽子を被ったアイツのカーレースゲーム。並列して並ぶそれに座り、コースと車を選ぶ。
『私キノコにしよっと』
「んじゃ俺ラスボスの」
『あ、そっちのが強そう!』
「だめー、俺のですー」
うー、と恨めしそうに睨む海宙に、口角を上げてニヤリと笑う。
「これさ、レースに勝った方が負けた方に命令できるとかどうよ?」
『良いよ、私が勝っちゃうもんねー』
「それはどうかなー?」
3,2,1,Go!ブォンとエンジンを蒸かして画面の中の車が走り出す。もちろんトップは俺、次いでピンクのお姫様、海宙は3番目に付けていた。
「はい、イカスミー」
『あっ、秋紀ズルい!甲羅だおりゃー!』
「てめっ何すんだよ!」
『ふっはっはっはっはー』
「くっそ、バナナの皮撒き散らしてやる」
『キャー、滑ったー!?』
「はい俺1位にふっかーつ!」
途中から俺と海宙がトップを独走。そして最後のコーナー、1位でゴールを決めたのは無敵を使った俺だった。
「イェーイ、俺の勝ちー!」
『もおぉ、そこでスターはズルいよ!』
「作戦勝ちですー」
思っていたよりも接戦だったから危なかったけど、とりあえず勝てた。内心でガッツポーズをしながら、ふてくされる海宙の頭をぽんぽんする。
「帰りにクレープ買ってやるから、な?」
『ほんと!?わーい、やったね!』
ぱっと笑顔になって喜ぶ海宙。改めて思ったけど、女子って本当に甘いものが好きだよな。ドーナツとかアイスとか。
「っつーか俺が言うこと聞いてもらえるんじゃなかったっけ?」
『それとこれとはべーつ!クレープはね、チョコバナナにイチゴも付いてるやつ』
「それ、めっちゃたけーやつじゃん!」
『秋紀のポケットマネーだから良いの!』
良くねーよ!とチョップすると、痛がりながらも海宙はにこにこと笑う。
ったく、こいつは…
海宙がモーグリを抱っこ、俺はチョコボを抱っこ。空いている方の手を繋いでクレープ屋に向かいながら、俺は一生海宙に敵わないだろうと思った。