Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第28章 放課後でぇと《木葉 秋紀》
【木葉 side】
俺がうどんを食ってる間、海宙はずっと笑いを堪えていた。時々くふっと笑い声が聞こえたり。腹ごしらえもしたところで、次にどこに行こうかと訊く。
「なんか行きたいとこは?」
『さっき3COINS行ったしなぁ…じゃあ、次は秋紀の行きたい所行こ?』
「あ、ゲーセン行きたい。しばらく行ってないからなー。それで良い?」
『うんっ!』
にっこりと笑う海宙をくしゃっと撫でた。髪が崩れるからやめてと海宙は言うが、俺は海宙の髪が好きだ。指通りが良いし、それに良い匂いもする。
…なんて言ったらヘンタイっ!とパンチが飛んでくるので、心の中に仕舞っておこう。
ショッピングモールの端っこに割りと大きなゲーセンがあるのでそこに向かう。着いて早々、超有名な太鼓ゲームがお出迎え。
『ねぇ』
「ん?」
『たまにさ、太鼓ものっスゴい上手な人とかいない?こう、自分のバチ持ってさ』
えい、と太鼓を叩く真似をする海宙。確かに何度かマイバチを使っている人を見たことがある。
「あー、いるいる。俺なんて太鼓の叩くところに風呂敷巻き付けてやってる人見たぜ」
『えーっ、それはかなりプロいね』
「それな」
クスクスと笑いながら中を探索する。BGMや騒がしい声がして、そこかしこでディスプレイがチカチカ光っている。
あっ!と声を上げたかと思うと、海宙がユーフォーキャッチャーに走り寄った。そこには巨大な白い生き物。
『モーグリっ!秋紀、コレ知ってる!?』
「あれだろ、FFのあれだろ!」
『そうなのっ!かぁわいぃ~っ!』
欲しいなぁ、と呟く海宙。俺は微笑を浮かべながらサイフを取り出し、100円玉を投入した。テロリローンと機械が鳴る。
『え、秋紀?』
「欲しいんだろ、取ってやるよ」
『うそ、取れるの?』
「おう。ま、運にもよるけどな…」
慎重にボタンを押し、クレーン操作する。クレーンをドンピシャ真上で止めると、アームが動きモーグリを掴む。そしてそのまま受け取り口へ…と思いきや、少し手前で落下。
『あぁ、惜しい!』
「んー、この角度なら次でいけるな」
そう言いながら100円を追加投入。驚いたように見上げる海宙に、俺は笑った。
「こう見えても得意なんだぜ?」