Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第28章 放課後でぇと《木葉 秋紀》
木兎と赤葦と別れた後、なんとなーく空気で駅前に行くことになった。
「行きてーとことかあるか?」
『んーと…あ、3COINS行きたい!』
「じゃ、まずそこ行くか」
にっと笑う秋紀。その左手に私の右手をそっと重ねる。おずおずと握ると、ぎゅっと力強く握り返された。
『…ふふっ』
「ンだよ?」
『なんか、カレカノだなぁって』
「ノロケかっつの」
『う、うるさいっ!私だって自分で言っておきながら恥ずかしいんだからっ///』
頬を膨らませると、秋紀は繋いだ手をさっきよりも強く握った。
「ぜってー放してやんねー」
『えーっ!?』
それから顔を見合わせてげらげら笑った。なんでもないのにスゴく楽しくて、お腹が痛くなるまで笑った。治まったと思ったら、秋紀がヘン顔してきたから、また笑っちゃうし。
「ほら、到着したぞ」
『やった、久し振りなんだよね~!』
ニコニコしながら駅前の3COINSに入る。9月なのに、ハロウィーンの特設コーナーができていた。カボチャとかオバケの仮装用のグッズとか、アクセとかがこんもり。
『わぁ、かわいい!』
「あ、これとか似合うんじゃね?」
私が黒猫のピアスを見ていると、秋紀が何かを見せてきた。それは13日の金曜日のアイツみたいなお面。私の顔に重ねると、満足気に頷いて、似合ってる笑った。
「やっぱ良いよ、コレ」
『絶対こっちの方がかわいいもん』
「いーや、俺のだな」
『うそ!だって声が笑ってるもん』
「あ、バレた?」
くくっ、と喉の奥で秋紀は笑った。それから文具を見たり、ヘアアクセを見たりした。ちょうどシュシュが1つ壊れたところだったので、秋紀に似合うのを見繕ってもらった。
「白、いや、こっちか…?」
『私って髪が元々茶色っぽいんだよね~』
「ならこれだな」
そう言って秋紀が選んだのは、水色で回りに白いレースが付いている女の子らしいもの。
『あ、かわいい!』
「んじゃ買ってやるよ」
『え!?自分で買うから良いのn…』
「こーゆーのは男が買うもんなの。俺にもたまにはカッコつけさせろよな」
そう言うとくしゃりと私の頭を撫でてレジに向かった。そして袋に入ったそれを私に渡す。にかっと笑い、大事にしろよな、なんて言うから恥ずかしくて顔を逸らした。
不意打ちでカッコいいとか、ズルいよ…///