Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第28章 放課後でぇと《木葉 秋紀》
キーンコーンカーンコーン。
終業のチャイムが鳴ると、いっせいに教室を飛び出すクラスメイトたち。木兎もその筆頭だったりするから、苦笑いだ。
「海宙ー、行くぞー」
『はーい秋紀クン』
たたたっと走って、ドアの所にいる秋紀の前でちょんっと立ち止まる。見下ろしてくるから見上げる。私と秋紀の視線がばっちり合う。
じぃ――――――――っ。
………フイっ。
と、目を先に逸らしたのは秋紀だった。
『…秋紀?』
「あのなぁ…ンなに見んなっつの」
『なんで?』
キョトンとして首を傾げると、秋紀はキョロキョロと周りを見回した。それから教室に誰もいないことを確認すると、私のおでこにちゅっとキスをした。
『ふゃあっ///』
「こーしたくなるっつってンの///」
行くぞ、と、ぶっきらぼうに言うと、秋紀はすたすたと歩き出した。姿が見えなくなる前に慌ててそれを追うと、角を曲がった階段の手前で秋紀が待っていた。
「あんまカワイイことすっとこうなんの」
『んー、かわいいかどうか、私と秋紀の基準が違うんだけど…?』
「あーもう!ヘリクツはいーから!」
行くぞっ!と私の手を乱暴に掴むと、秋紀はダッシュで階段を下り始めた。引かれるままに階段を下りて、玄関に向かう。
「オッス蒼井、木葉ー!」
『あ、木兎!』
「よぉ」
そこには靴を履き替える木兎と、隣にはそれを待つ赤葦がいた。
「なぁなぁ、この靴カッケーよな!」
「うぉ、アディダスの新モデルじゃん!」
「だろ!色合いとラインが気に入ってて…」
木兎の靴を片手に靴を語り始める木兎と秋紀。はしゃぐ2人を見ながら、赤葦と雑談。
『赤葦も大変だねぇ。部活じゃないのに木兎のこと面倒見てるの?』
「まぁ、そっスね。どっちかって言うと木兎さんに連れ回されてるんですけどね」
「海宙!俺も新しい靴欲しい!」
『ダメっ!この前リュック買ったでしょ!』
えぇぇぇぇっとぶーたれる秋紀。それを見た赤葦は苦笑しながら言った。
「先輩も大変ですね」
『お互いにねぇ…』
木兎と秋紀が友好を深める一方で、私と赤葦の新密度もちゃっかり上がってるのでした。