Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第28章 放課後でぇと《木葉 秋紀》
【蒼井 side】
夏祭りの日から約1ヶ月。東京の暑さは和らぐこともなく、いつも通りの日常が過ぎて行く。ただ1つ、変わったことと言えば、秋紀との関係。ただの幼馴染みが彼氏彼女にランクアップしたのだ。
そんな訳で、今日は始業式です。
まぁ、部活で顔を合わせてるから"きゃっ久しぶりね、秋紀クン"なんてことにはどう転んでもならない。
だから、今日もいつも通りの日常の1コマを送るんだろうと思ってた。そしたら、お昼休みに赤葦が非日常を連れてきた。
「蒼井さん、今日の部活は体育館の改装工事で無くなるそうです。木兎さんや木葉さんにも伝えてもらっていいスか?」
『うん、分かったよ~』
お辞儀をして去っていく赤葦に疑問が沸いた。こういうの、キャプテンの木兎の仕事なんじゃ…?ま、木兎がやるようには見えないけど。小見や鷲尾、かおりんやゆっにーにも伝えて、最後は秋紀。3組のドアを開けると、すぐに秋紀が出てきた。
『秋紀っ、今日の部活休みだって』
「へぇ…って、マジ!?」
やった休みだー!と喜ぶ秋紀。無邪気で面白くて笑ってたら、秋紀にほっぺを両手でむにゅっと挟まれた。
『ひょっひょ、らりひゅるろ!』
「うわ、ぶっさいく~」
『もうっ!いきなりなんなのよ!』
秋紀の手を振りほどいて下から睨む。バレー部にいると小さく見えるが、秋紀はそこそこタッパがある。そんな彼をじぃっと見上げると、思いもよらない言葉が上から降ってきた。
「なぁ、放課後制服でデートしようぜ」
『ふざけな………え、でぇと?』
ぱちくり、ぱちくりぱちくり。
じぃ―――っ。
ほっぺた、むにーっ。
うん、痛いや。
痛い、ってことは、夢じゃない…?
『…え、えっ、えぇぇぇえっ!?』
「んなに驚くことかよ!?」
だって、だってだってだって!あの秋紀がだよ?照れ屋さんでシャイで器用貧乏でどことなく残念な秋紀が、そんな…自分から私をデートに誘ってくれるなんて。
「お前な、顔に全っ部出てっぞ」
『うっそ』
「で、どーすんだよ。デート、行く?」
『行く、行く行く、行きたいですっ!』
満面の笑みで答えると、秋紀はにかりと笑って私の頭をくしゃりと撫でた。
「放課後、楽しみにしてろな」
『うんっ!』
こうして、放課後デートが決まったのです。