Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第27章 ☆両想いの彼らの事情《山口 忠》
それから、いつもみたいに一緒に帰った。いつもと違うのは、隣に月島君がいないこと。それと、手を繋いでいること。
家の近くの公園が見えた頃、忠君は、ごめんね海宙、と謝った。
「俺があんな態度で不安じゃなかった?」
『ちょっとね。なんで避けられてるのかなぁって心配だったもん。キスしたときに私の顔がヨダレまみれだったからかなって』
忠君は顔を歪めると、その腕にもう一度、私を閉じ込めた。ふわっと忠君の匂いに包まれて、それだけで私の心臓はトクトク鳴る。
「ごめんね不安な気持ちにさせて…告白した時に絶対に幸せにするって言ったのに…」
『誰だって間違えたり失敗するもん。私だってそう。でも、こうやって乗り越えていけば良いんじゃないかな?』
そうだね、と忠君は笑った。それから真剣な顔になって、あの、と口を開いた。
「今度こそ、絶対に幸せにするから」
『うんっ!今度は2人で幸せになろ?忠君が私を幸せにしたいって思ってるように、私だって忠君を幸せにしたいもん』
笑顔で言うと、忠君が顔を手で押さえた。
『…忠君?』
「…ごめん嬉しくて。あの、また昨日みたいなキスしても、良い?」
私は赤くなりながらも首を縦に振った。忠君は最初は唇を合わせるだけ、小鳥が啄むみたいなキスをした。
それから徐々にの舌を入れて、絡ませていった。それは、お互いの想いを確かめあうような、そんなキスだった。
短くも長く感じられるキスを終え、乱れた呼吸を整えると、忠君が私をぎゅうっと抱きしめてくれた。
「これからもよろしくね」
「うんっ、忠君大好き」
そう言うと、私は忠君を強く、強く抱きしめ返した。もう思いがすれ違わないようにと、願いを込めて。
夕焼けに色付く空の下、
2人はお互いの想いを確かめました。
すれ違ってしまった2人の思い。
でもそれは、2人の愛を
より強いものへと成長させたのでした。
めでたし、めでたし。
END.