Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第27章 ☆両想いの彼らの事情《山口 忠》
~オマケの1コマ~
【NO side】
風のように山口が走りって行った後、部室では先輩たちが安堵のため息を漏らしていた。
「これでなんとか収まりそうだな」
「山口もやるときはちゃんとやるべ!」
にひひっと笑う菅原に、キャプテンの澤村もうんうんと頷く。それにしても、と菅原は続けて話し出した。
「縁下の言い方説得力あったなぁ」
うんうんっと周りの部員たちもも同意する。と、縁下は少し赤くなって頬を掻きながら口を開いた。
「…実は、俺も中学の時の元カノと同じような経験をしたことがあって…」
あまりに突然なカミングアウトに一同が唖然となる。特に騒がしいのは、毎度お馴染み2年の田中と西谷だった。
「力、ファーストキス済ませてたんだな!」
「このっ、裏切り者ーッ!!!」
「いや、縁下はなんも悪くないべ」
苦笑いする菅原に、縁下は言う。
「あまりにも俺と似てるケースだったんで、もしかしたら役に立つかと思って」
「ほぉ~。で、その元カノはどうなった?」
「卒業と同時に別れました。彼女が県外の高校に行くので遠距離は辛いね、と…」
そっか~と菅原は呟いた。それからは部員たちであーだこーだと初恋だのファーストキスだのの話に花を咲かせていた。
そこではたと気付いたのが2年の2人。
「なぁ、龍」
「おう、ノヤっさん」
「力、さっきキスは終えたって言ってたよな」
「おう。山口と同じってことは、大人のキスを済ませたってことで…」
そこで顔を見合わせて、恐ろしいことに気付いたように、縁下に詰め寄った。
「ちっ、力、お前まさかもう…」
「どっ童貞じゃないのか――――ッ!?」
鬼のような形相で迫る同級生2人に、縁下はそれはそれは深い笑みを浮かべた。
「さぁ〜、どうでしょうね?」
その後、縁下は童貞じゃない説がバレー部中の話題となったとか、ならないとか。
今度こそEND.