Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第27章 ☆両想いの彼らの事情《山口 忠》
ようやく涙が止まってきた頃、それを見計らったように忠君が口を開いた。
「海宙、俺がこれから言うこと、最後まで聞いてもらっても良い?」
こくん、と頷くと、忠君は話始めた。
「昨日さ、俺たち大人のキスしたでしょ?その時海宙にもっと触れてたいって思っちゃって…同意も聞いてないのに夢中になって。我に返った時に自分の行動が恥ずかしくなって逃げちゃった…んだよね」
『そう、だったんだ…』
ごめんね、俺って臆病なんだよ。そう言って頭を掻く忠君。そんなことないよ、って微笑むと、忠君は嬉しそうに笑って続きを言った。
「その夜に海宙の夢見ちゃって。それがエッチな格好で…さっき腕を掴まれた時に海宙のこと見て、またキスしたいって思っちゃって…このまま俺の近くにいたら海宙のこと汚さないか不安で…」
『………それで、私のこと避けてたの?』
忠君はシュンとしながら、こくんと頷いた。
『……った…』
「え、ごめん、よく聞こえな…」
『良かった…よかったぁ、忠君が私を避けてたのがそんな理由で!』
にこっと笑った瞬間、忠君がえっ!?と声を上げた。ごにょごにょとそんな理由って…と呟くのが聞こえた。だって、忠君にとっては大変な理由かもしれないけど、私にとっては小さなことだったんだもん。
『別に気にしなくて良いのに』
「え、えっ!?幻滅しないの?」
焦って言う忠君。私はよく分かんないから、キョトンとしながら言った。
『そんな、しないよ!そりゃ、昨日はいきなり大人のキスしたからびっくりしたけど…』
「っじゃあじゃあ、うわぁ気持ち悪いなぁとかって、思わないの!?」
『思うわけないじゃん。付き合ってたらそういうことしたいって思うのは当たり前なんじゃないの?好きだったら、なおさら』
ね?と笑い掛ければ、忠君はいつもみたいにふにゃりと笑った。今までみたいに笑えることが、すごく嬉しかった。