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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第27章 ☆両想いの彼らの事情《山口 忠》




【山口 side】


どうしよう、やってしまった。

驚いたとはいえ、あんな風に腕を振り払うなんて。あまつさえ、うるさいなんて怒鳴っちゃって。俺、バカだなぁ…

「はあぁぁぁ…」

俺はたぶん、ものすごい負のオーラを放っているんだろう。何度目か分からないため息を吐きながら、着替えを始める。

それに、なんとなくみんなの視線を感じる。憐れむような、心配するような。それは俺のせいだし、仕方無いことだろうけど。

「…なぁ山口、蒼井さんとなんかあった?」

「え…」

じぃっと見上げるのは日向。その目には好奇と不安が見てとれる。それに便乗する形で他のみんなも言ってきた。

「そぉだぞ山口!お前らあんっなに仲良かったじゃねーかコンチクショー!」

「なんかあんなら田中センパイに言いなさいコンニャロリア充山口め!」

「お前ら、慰めるのか貶すのかどっちだ」

西谷さんと田中さんがわーわー言い、それをたしなめるのは縁下さん。そんな後輩たちを見ながら、スガさんも言った。

「まぁお前達の問題だからな…でも、アドバイスできると思うから言ってみるべ!」

な?と笑うスガさんに、荒んでいた気持ちが少し楽になった。そして昨日のできごとを訥々(とつとつ)と話し出した。

「…いつも、ツッキーと俺と蒼井さんの3人で帰ってるんです。昨日の帰り道ツッキーと別れた後、蒼井さんの家の近くの公園まで送りに行って…」

少し赤くなって、俺は俯いた。

「そこでいつも、きっキスをするんです///」

「「ぬわんだとおぉぉぉおっ!?」」

「「お前ら黙ってろ!」」

日向と旭さんがボッっと赤くなって、影山とツッキーは特に興味無さそうで。叫んだ田中さんと西谷さんは、縁下さんと大地さんに叱られて。スガさんは呆れながら俺に続きを話すように促した。

「…いつもはそれで満足するんです。でも、その時だけもっと蒼井さんとくっついてたいって、離れたくないって思っちゃって、それで…」

「それで…?」

訊き返すスガさん。俺はどうにでもなれと思って一思いに言った。

「おっ、大人のキスしちゃったんです!」

ぶわっと赤くなった顔を手で隠す。 みんなが驚いたのが伝わってくる。それでも、俺が話すのを黙って聞いていた。


    
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