Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第26章 ★"ツン"と"デレ"《木兎 光太郎》
そわそわ、うろうろ。そわそわ、うろうろ。
そうしている間に数分が経過。カチャリと聞こえて慌てて振り向くと、ドアから顔だけを出した海宙。頭には黒い猫耳。
『き、着替え終わりました…///』
「おう!」
返事をするとサッと引っ込む海宙。それに続いて部屋に入って、俺は目を疑った。
指定の長さより少し短くされたスカートの裾から覗く白い足。黒髪に似合う猫耳。そして極めつけは、俺のシャツ。だぼっとした感じと言い、袖から手が出てないのと言い、
「やっば、破壊力ハンパねぇ…っ///」
直視できない、カワイすぎて。
『や、やっぱりヘン?これ脱ごうか?』
「いやいやいやいや、むしろそのまま!記念に写メ撮りたい、写メ!」
うえぇ…と嫌がる海宙の腕を引き、スマホのカメラを起動。2人で"にゃん"と猫のポーズをしてぱしゃり。
撮り終えると、うあぁあぁああっ!と変わった声で叫びながら、海宙は俺のベッドにダイブ、布団にくるまった。
「え、ナニ、どしたの!?」
『ごめんなんか。すごい矛盾に襲われてる』
「矛盾?なんの?」
『やっぱ、いい。恥ずかしいもん』
「えぇー、気になるー!」
海宙は顔を布団から出して、蚊の鳴くようなか細い声でぽつりと呟く。
『わ、笑わない?』
「もちろん!」
『…こんな格好、恥ずかしいのに…なのに木兎と写真撮って、その…ぅ、嬉かった…///』
顔を真っ赤にして、目線を左右に忙しなく動かして海宙はそう言う。俺は顔にぶわっと熱が集まるのを感じた。
"ツン"な海宙が、"デレ"てる。
なんだこれ、ヤバい。
すげぇ、嬉しい…
「ごめん。これは我慢できねえわ」
『な、にが…っひゃあ!?』
我慢できない。そう宣言して、俺は海宙を布団ごと抱きしめた。もぞもぞと動く気配は最初こそあったものの、徐々に勢いを無くし、最後には大人しくなった。
「なんかもう、俺ムリ。海宙のこと離したくねえわ。好きだってたくさん言いたいし、キスしたいし、そーゆーこともしたい」
『なっ、ぼ、木兎…///』
ちらと見える耳が朱に染まる。そろりと海宙は布団から出る。そして目の前の黒いにゃんこは、俺の頬にちゅう、と。1つ、キスをした。