Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第26章 ★"ツン"と"デレ"《木兎 光太郎》
【木兎 side】
部活の帰り道、スキップをしようとしたら、海宙に恥ずかしいからやめてと言われた。でも、そんなのでへこたれないくらい上機嫌。
『なんでそんなに嬉しそうなの?』
「海宙とカケしたじゃん?赤点なかったから言うこと聞いてくれんだろ?」
『あ、そういえば』
何か奢るとか?と見上げる海宙の頭をぽんぽんと叩き、俺はにかりと笑った。
「後のお楽しみ!あ、今日は俺んち来いな」
『ん。木兎んちならお母さんも遅くなっても心配しないよね。隣だし』
「だな!」
そう言って、2人で笑った。
それから俺の家に着いて、部屋に向かう。ドアの前で少し待ってもらい、その間に最低限の片付けを…と思ったのに開けられました。
『うわ、きったな!脱ぎっぱなしだし読みっぱな…あ、エロ本。えい』
海宙がひょいと拾い上げたそれは、表紙で妙齢の女が手ブラをしているやつで。
びりびりびりびりっ。
「あ"っ!?」
この前買ったばっかのが一冊再起不能になりました。つか、真っ二つって…
フン、と鼻で俺を笑うと、海宙はベッドに腰掛けた。それから俺を手招き。荷物を置いて隣に座ると、黒い2つの目が見上げる。
『で、何すれば良いの?』
「考えてあるんだな~。ちょい待ち!」
立ち上がった俺はクローゼットをあさり、そこからある物を取り出した。
『え、待って。嫌な予感しかしなi…』
「じゃじゃーん、海宙には猫耳と彼シャツをやってもらいまーす!」
『ごめん、木兎。急用思い出した』
「うぉい!?」
帰ろうとする海宙。ドアから出るギリギリで捕まえ、後ろから抱きしめれば、すっぽりと腕の中に収まった。
『ぼ、木兎!?』
「コラコラ、逃げるなよ」
『分かったから、離してよ…///』
髪の間から覗く耳は少し赤くて。それで気を良くした俺は、海宙の背中を押しながら部屋に戻る。
黒い猫耳と俺のYシャツを抱えた海宙は、恥ずかしそうな顔。普段目にしない姿に、俺はなんだかドキドキした。
『き、着替えるから外出てて…///』
海宙に素直に従い、俺は部屋を出た。ヤバい、と思い、口を手で覆う。ニヤけが止まらねぇ。あんなの反則だろと思いつつ、ドアが開くのを待つのであった。