Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第26章 ★"ツン"と"デレ"《木兎 光太郎》
【蒼井 side】
2日間、みっちりしごいた木兎を補習テストに送り出す。一足先に部活に向かうと、予想通り補習テストは木兎だけだった。
「あ、蒼井。木兎は…」
『お察しの通り、テスト中』
「うわー、大丈夫かよあいつ」
『木葉、言っとくけど私が教えたんだからね。そんなの、大丈夫に決まってる』
「ま、学年トップのお前が言うならな~」
主将の木兎の代理で赤葦が部活を進める。と言っても、普段から木兎の代わりに赤葦が進めてるわけだが。
ストレッチや基礎メニューをこなし、いよいよ試合形式の練習に入ろうとした時。
ダダダダダッ、バンッ!!!
「ヘイヘイヘーイ、テストパスしたー!」
「「『うるさい』」」
私と木葉、それに小見がハモりました、ええ。やかましく入ってきたのは、満面の笑みの木兎。たたたっと駆け寄ると、私の前にずいっと2枚の紙を見せる。
「な、50点満点で40、スゴくね!?」
『全然スゴくない…って、ん?』
50点満点で40。6割を取れればクリアなので、8割とった木兎は及第点だ。
『え、うそ、40!?』
「ほら、数学も英語もぴったし40」
「うお、すげーじゃん!」
「やったな木兎ー!」
「ヘイヘイ、俺ってやっぱさいきょー!」
チームメイトに揉みくちゃにされながら笑う木兎は、本当に嬉しそう。まぁ、合格して当然の補習テストなんですけどね。
一歩離れたところにいる赤葦と白福、雀田の隣に並び、傍観。
「スゴい喜びようスね」
『まぁ、木兎だからね』
「これはもはや奇跡に近いんだよ、赤葦」
「え、そうなんスか?」
雀田のセリフに驚きを隠せない赤葦は、ぎょっとして訊き返す。
「そだよ~。2年までテストでほとんど赤点だったもん。蒼井がいなかったら梟谷に来れたかも分かんないよ~」
「マジですか…」
『残念ながら、私たちのキャプテンってそういう人なんですよ、赤葦』
続く白福は、ちゃっかり木兎の過去を暴露してます。それに便乗して私もずけずけ言ってる。軽くディスってるけど本人は気付いてないみたいだし、いっか。
…あ、木兎くしゃみした。