Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第25章 三角幼馴染み《及川 徹&岩泉 一》
一頻りはしゃいで、snowで写真を撮りまくって、遊びまくって、さぁ片付け。
『矢巾ー、それこっちね』
「はい。おい、京谷、お前も働けよ!」
『1年はゴミ捨ててきてくれる?』
「「はーい」」
ごちゃごちゃだった部室が片付いてきた頃。マッキーとまっつんが海宙に何かを渡しているのに気付いた。
「なーにしてるの?」
『2人もホワイトデーだって』
「え、何あげたの?」
「蒼井の好きなジブリグッズ」
「お前の後だと霞むけどなー」
『そんなことないよ!わたしに何かお礼をしたいっていう気持ちが大事だもん!』
ねっ?と笑う海宙。あ、ちょっとマッキーにまっつん、なにドキッとしてんの。それから海宙は岩ちゃんの方に向いた。
『ハジメは?』
「あーっと、悪い。用意はしてあるんだけど家に置いてきちまって…」
『そっかー。じゃまた今度ね』
おう、と返す岩ちゃん。
でもね、俺は知ってるんだよ、岩ちゃん。エナメルバッグに入ってたじゃん、カワイイピンクのラッピング。
なんで渡してあげないの?
ほら、見なよ。
海宙、寂しそうじゃん。
岩ちゃんはマッキーと話すのに夢中で海宙の視線に気付かないし。海宙は岩ちゃんが何かを堪えるような顔してるのに気付かないし。
あぁ、もう。
なんて、世話のやける。
『あっ、そうだ!お母さんに用事たのまれてるんだ。わたし、帰るね』
突然に海宙が言った。いそいそと荷物をまとめ、リュックを背負うと、じゃ、と言って部室から出ていく。一瞬だけ見えた横顔は、ひどく悲しそうだった。
それからちらほらと帰り出す部員。そんな中で3年だけが残った。
「じゃ、俺らも帰r…」
「岩ちゃん」
口を開いた岩ちゃんを制止した。大きな声じゃないのに、岩ちゃんは気圧されたように黙った。俺は語りかけるように話した。
「俺たちさ、中3の時、ずっと友だちって約束したじゃん。あの頃はまだガキだったからその意味を良くわかってなかったでしょ?」
俺も、岩ちゃんも、海宙も。
「でもさ。もう、違うんだ。俺たちはあの頃のままじゃない。大人になったんだよ」
だから、だからね、岩ちゃん。
「あの約束は、もう、終わりにしよう?」
みんな、自分の気持ちに気付いてるんだ。