Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第25章 三角幼馴染み《及川 徹&岩泉 一》
そんな風にして楽しく笑っていると、ぎゅいっと耳を引っ張りれた。痛みと驚きとで振り返ると、そこには頬を膨らませた海宙がいた。
『トオル、ホワイトデー無いの?』
「あるよ。今回のはね、ちょっと特別なのにしたんだ。きっと気に入ると思うよ」
『えー、何だろ?』
話しながらバッグをがさごそ。そして、中から小さな立方体の箱を取り出した。手のひらサイズの水色の箱。それをつまみ、そっと海宙の手に載せる。
「はい、いつもありがとう。大好きだよ♪」
『ハイハイ、わたしも好きですよ。っと、これ開けてもいい?すっごい気になる』
良いよ、と言うと、海宙は水色のリボンをシュルリとほどいた。そして、箱を開けて目を見開いて、口を手でおおった。
『うそ…すごい、カワイイ…え、良いの?こんなの貰っても良いの?』
「もちろん。及川サンが選んだんだよ?」
『かぁわいぃ~っ!ねぇねぇ、花巻松川見てよ!すっごいかわいくない!?』
何が?と見るマッキーとまっつん。それから海宙の手の中のものを見て、心底驚いた顔をした。
「すげー、イヤリングじゃん!」
「ほひははほひひはほはふふはぁ!」
「ごめん花、何言ってっか何一つ分からん」
『うわー、うわー!どうしよう、着けるのもったいなさすぎるよ。とっときたいよ!』
俺としては着けてほしいんだけどな。でも、海宙か喜んでくれたなら良しとしようじゃないか!一通り見せびらかして喜びを露にした海宙は、満面の笑みで俺に抱き付いた。
『ありがとうトオル。すっごい嬉しい。これからも、ずーっと友だちでいようね?』
「あ、そのことなんだけど、俺…」
その時、ガタンッと音がした。振り向くと、岩ちゃんがテーブルにぶつかって、その反動でコップが倒れジュースがこぼれていた。
『わー!ハジメだいじょぶ?』
「悪い、こぼした。雑巾どこだ」
『あー、こっち。はい、拭くから避けてー』
テキパキと動き、海宙はあっという間に片付けを終えた。
『ごめんトオル、何だっけ?』
「いや、なんでもないよ」
そっかー、と呟く海宙。チラリと岩ちゃんを見遣れば、なんとも言い難い表情をしていた。