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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第25章  三角幼馴染み《及川 徹&岩泉 一》



それから2週間。俺は二次試験の勉強があるからと、頑なに及川を避けた。バレー部のやつらもひたすらに避けて、話をするのはクラスメイトぐらいなものだった。

そして合格発表の日。自分の受験番号があることにホッとして、同時にガッカリした。

本当なら、隣にあいつらがいるだろうと。

及川は岩ちゃん岩ちゃん言って、俺より号泣しそうだ。海宙はおめでとうと本当に嬉しそうにするんだろうと。

「何、考えてンだよ…」

こんな状況にしたのは、俺だというのに。

なんで、怒鳴っちまったんだろう。あんなに怒ることじゃなかった。でも中3のあの日、俺たちは約束したんだ。ずっと友だちでいようと。

スマホからメッセージアプリを起動。バレー部のグループで合格を報せると、すぐに返信が返ってきた。それは及川からだった。

なんでも、卒業式の次の日にみんなで3年の合格祝いをしようとのこと。それから及川は、海宙も誘うからホワイトデーのお返しを早めに用意するように☆とも。

「ったく、勝手だな…」

了解、と返事を打つと、次々にアイコンが光る。花巻や松川も合格したようで、それを後輩たちが労っていた。



家に帰る途中、ホワイトデーの存在を思い出した。卒業祝いも兼ねて良いものをプレゼントしよう。俺にそんな資格は無いかもしれない。それでも、日頃の感謝だけは伝えたいと。切に思った。

向かった駅前の女性向けのカジュアルショップ。海宙によく連れ回された店のうちの1つだ。

女性だけの店内にゴツい男一人。若干恥ずかしい気もしたが、それでも今は、海宙のためにと必死だった。

「あの、すいません…」

意を決して声を掛けた若い女性の店員は、プレゼントをしたいと言うと快く探すのを手伝ってくれた。

「実は、幼馴染みにプレゼントしたくて…」

「その幼馴染みさんは、カノジョさん?」

「いえ…それに今、ケンカしてて…」

「でしたら、こちらがおすすめですよ」

そう言って示すのは、シルバーのネックレス。王冠の下にカギが付いてるモチーフ。そして王冠の中には水色のクリスタル。

これを着ける海宙を想像する。いつも笑顔の彼女には、きっと似合うだろう。

「じゃあ、これで」

そう言うと、店員はニコリと笑って包んでくれた。そして、俺にそのネックレスの意味も教えてくれた。


 
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