Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第25章 三角幼馴染み《及川 徹&岩泉 一》
そして当日、月曜日の朝。ダッフルコートにマフラーまいて手袋着けて、寒さ対策は万全。なのに寒い、東北の2月。
『うぅ~寒い!行ってきまーす』
「いってらっしゃい…ってあんた!チョコ作ったのに忘れてるわよ!」
『いっけない!お母さんありがとー!』
紙袋に作ったチョコをわんさと入れて、持っていく。学校に着いて靴を履き替えようとロッカーを開ける。
『…あれ、チョコだ』
そこには数個のラッピングされたもの。付属のメモを読むと、"先輩、ありがとうございました。大好きです!"と書かれている。
なるほど、女バレの後輩ちゃんだな。このカワイイ字はあの子だな。と、思い、くふふと笑みが零れる。
チョコを鞄にしまいながら、トオルとハジメはどこにいるだろうと思案する。男バレのみんな、今日は部活がないけど練習してるだろうなぁ。きっと2人もそこだろうな。そう思ったわたしは、体育館に向かった。
そろりとドアを開けると、そこには朝の寒い中練習に勤しむみんなの姿。もちろん、トオルやハジメ、3年もいる。
『おっはよーみんな!』
「先輩ッ!」
「はよざいます!」
「おはよー海宙!」
挨拶を叫ぶと、みんながわらわらと群れてくる。その中でも筆頭は、トオル。
「ね、海宙。言うこととか渡すものとか…」
『ハイハイ。チョコでしょ、チョコ』
うぉーっと雄叫びを上げる男子ども。愛に飢えたその姿を見ながら、内心高笑いする。
はっはっは、この日ばかりは普段ウザがってる女子のありがたみを感じるだろう!と。
『よーし、渡すよー。はい金田一と国見ー』
「ハイッ!」
「やった、糖分」
…国見、そのコメントはどうかと…?
『次、2年生。矢巾、渡、京谷!』
「アザっす、蒼井さん」
「ありがとうございます!」
「ウッス…///」
京谷、コワモテの顔が弛んでるぞ(笑)
『ラスト3年s…』
「はいはいはい、はーい!」
『トオルうっさい!』
挙手して迫ってくる幼馴染みを押し退け、花巻と松川に渡す。チョコだチョコだとよろこぶみんなに微笑み、それからトオルとハジメに向き合う。
そして、とびっきりの笑顔を浮かべた。
『はい2人とも、いつもありがとう!』