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Volleyball Boys 《ハイキュー!!》

第25章  三角幼馴染み《及川 徹&岩泉 一》



翌日の日曜日。バレンタインは明日。

安いと人気のスーパーに向かうと、バレンタイン特集のコーナーができていた。数十年前まではそんなに騒がなかったと以前お母さんが言ってたけど、今や一種の社会現象だ。

板チョコの普通のとホワイトのを少し多目にカゴに入れ、ホケミも入れる。それから、トッヒング用に青と白のチョコペン。バターの在庫に不安があるので、予備で買う。

お小遣いがぶっ飛んだが、お母さんに臨時でちょっと貰おう。

白い息を吐きながら家に向かい、素早く荷ほどきをすると、エプロン装着。買ったばかりの材料をででんと並べ、腕捲りをした。

『よっし、作りますか!』

まずはチョコを切り刻み、それから湯煎にかけて溶かす。室温に戻しておいたバターと砂糖をまぜ、少量ずつ卵を入れる。それからホケミを入れて、だまがなくなってきたらチョコレートも入れる。クッキングシートを敷いた天板に流し込み、あとは焼くだけ。

一気にやって、疲れたなぁ。でも、もう1つ作らなきゃ。と、わたしはホワイトチョコを刻む作業に取り掛かった。

同じ手順を一通りやった頃、ピーっとオーブンがなった。ミトンを着けて取り出せば、熱気と共にほわっと甘い香りが漂う。

さく、さく、と切り分けて一口味見。

『…あ、甘い。ん、美味しい!』

我ながら傑作じゃん。それからホワイトでも同じことを繰り返す。ホワイトチョコを焼いている間に、先に焼いた方にデコる。

"Seijo"や背番号なんかを書いてあげたり、バレーボールを描いたり。トオルとハジメのチョコバーケーキには、2つくっつけるとハートマークになるようにしてあげた。

ホワイトチョコもできたのでデコレーションをし、冷めたところでラッピング。

『ハジメ、喜んでくれるかなぁ…』

脳裏に浮かぶのは、幼馴染みの姿。甘いのがそんなに好きではないハジメ。でも、わたしの手作りチョコは毎年、美味しい美味しいと食べてくれた。

願わくは、今年も喜んでくれますように。

星に願いを、とばかりに見上げた夜空は、残念ながらあいにくの雪空。それでも、しんしんと降り積もる雪を見れば、不安も消えて無くなるようだった。


   
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